第94章 創傷(そうしょう)
出来ないんだよ…
したくないんだ……
もし…すれば(ぽろっ)←落涙
することが、へいきになってしまえば…(ぽとぽと)←双眸から零れ落ち続けてゆく
何度も、取ってしまう
何度も、苦しめて、笑ってられる人になってしまう
それが…堪らなく嫌で、苦しくて、大っ嫌いな在り方なんだ^^
どうしても…
耐え難いぐらい……
やなんだよ
自分がそんな思いしてでもいいから…
人に、そんな思いをして欲しくない
ただの…馬鹿な、独り善がりな……馬鹿馬鹿しい願望でしか無い
痛いほどわかってる
そんなことは…あり得ないって……
それでも……やなんだ
いやなんだよ……」ぼろぼろ
膝を抱え、滂沱の涙を流すそれに
堪らなくなり、居ても立っても居られなくなり
腕の中に閉じ込めるように抱き締めた
驚嘆に値する精神性だと思う
その在り方こそが…創世神の主人格である証
それ故に母体という唯一の役割を担い、それに適性が最も高かったのだろうとも…
なのに……頑なに、自分のことを認めようとはしない
優しさを与えられるべきだとも思えない
フィン「そんなのずるい…
ずるいよっ」ぽろぽろ
気付けば…涙を零しながら
抱き締めたまま耳元で呟いていた
ケイト「…?ぐすっ
なに、が…?」
フィン「貴方の…
優しさ
それに付け入る
半グロや癌一同
なんとも思わない人達
知らないから…
なんとも思わない、大事にもしない人達…
それらが…どうしようも無く腹が立つ!!
腸(はらわた)が煮えくり返って仕方が無い!!!
そんなに苦労させておいて…
可哀想?
そんな馬鹿な話は無い
そんなこと思うくらいなら、最初からしなければいい!
させないようにしたらいい!!
なのに他人事ばっかり
なのに…貴方は、ずっと…ずっと……
そんな不安を抱えながら、痛みも苦しみも笑って何でもないように見せながら…
人のことばかり大事にして…自分のことは二の次で、後回しにして、最後の最後に回してばっかり
最期の瞬間になるまで――
そんな…状況の違いに…
腹が立った
ずるい…
そう感じた
人の良心を、想う心を利用し尽くす関係性に――心底腹が立った」
その言葉にケイトは言葉を失い…
瞠目したまま硬直してしまっていた
そんな気は無かったから…
数秒後、言われてみればそうだなと頷かれた