第16章 悲鳴
街の連中が揃い踏みでそんな連中だと知ったのは、街を散策した時だった。
彼女を遠ざけ、一人にし、ろくに話さず、会話もしたこともない。
それでありながら決め付けて高らかに叫ぶ。
記憶を通してみた彼女は、仕返しなどしなかった。
相手の痛みを考えて、常に自分にブレーキをかけていた。
自分など殺すべき存在だと、本気で見据えていた。
力になれるのならと、助けられる時は動いた。それでも蔑ろにされる。嘲り笑い誹られる。
それを周囲は素知らぬ振り。あるいは一緒になってそういうことをし続ける。
一人きりで悩みも気持ちも全て一人で抱え込み、精神も心も感情も潰れてもなお文句も言わない。
自分は殴られる為に産まれてきたのだと自分でさえも蔑み言い聞かせ、産まなければよかったという言葉を鵜呑みにして人にではなく自分にだけ当たり続ける。
当時の知るケイトは、そこまでだった。
アイズ「いい加減なこと、言わないで!!」びゅっ!!
「ひっ!?」
フィン「暴力など、振るおうと思えばいつだって振るえていただろう。
暴言もまた然りだ。
君達は自分にとって虫のいいことしか言ってない。
彼女がいつ、自分から君達へ向けて喚いた?叫んだ?当たり散らした?
僕達の目には、抵抗もしないケイトを一方的に貶めている『君達』の方が悪人にしか見えないよ。
暴言も吐き出せない、暴力も振るえない、愚痴さえも出せないそんな彼女を甚振って満足しているだけの…そう、君達はただの小物さ。
僕には、「同じ仕打ちを仕返しとして実行できない彼女」を一方的に陥れる為の『言い訳』にしか聞こえないな」
「はっ。こんな奴に関わってたらその内後悔するぞ」
アイズ「絶対しない!!
出ていって!!
あなたみたいな人、ケイトと同じ部屋にいさせたくない!!」
レフィーヤ(こんなアイズさん…初めて見ました)
「ちっ。終いには罰が当たるz
フィン「おや?それはおかしいね。
人を傷付けられないケイトの『優しさ』に付け入った挙句の果てに死に掛けたのは、どこのどいつだったかな?」
「くっ。何言われてもこいつの分の布団はねえ!!」
アイズ「出さなくていい。私は床で寝る」
レフィーヤ「え?;」
フィン「決まりだね。どうせなら僕もそうしよう。
蘇らせた恩人に向けての仕打ちがこれだ。いずれにせよ、ここでは休む気になれない」