第16章 悲鳴
仕事中に脳裏に浮かぶのは、こうして書類を書いていた時のことだった。
報告書を書き終えて伝書鳩を通じてギルドへ送った後、怒声が響き渡ってきた。
街に泊まっていた時の話だ。
ケイトを寝かせていた場所で、「あんな奴にやる布団はない」と叫ばれた。
「ケイトは悪人だ」
アイズ「あなたがケイトの何を知ってるの!?」
レフィーヤ「アイズさん!」
アイズ「ここで言わないと、一生後悔する)
ケイトがどんな思いをしてきたか知っているの!?
いつも聞かずに一方的に罵ってばかりで、人の話を聞いたことがある?聞こうとしたことがある?
そんな状況で、そんな環境で、話せると思ってるの?
一人きりのまま苦しんで、それを抱え込んで、誰にも言えないままっ!!
家族がいても、周りに人がいても一人きりで、遊ぶ人もいない!話しかけられる人も一人もいない!
誰にも自分から関わろうとは決してしない!
なのに…何が悪人?」
「ケイトの存在そのものに決まってんだろうが!!」
アイズ「勝手なこと、言わないでっ!!
ケイトはいつも…人一倍人に気を使って、優しくて、悪口なんて一度も聞いたことない!
あなたの都合のいいように汚さないで!!
何で…わからないのっ?(ぎり&ぎゅうっ)
本当に悪人なら、あなた達なんて見捨ててた!!!
普通の人なら仕返ししている!あなた達なんて…圧倒できるだけの力を持ってる!
なのに…それを人に向けて振るおうとは決してしないのに!
峰打ちでも当てれない、寸止めしか出来ない!
そんな人なのに!!あなた達がケイトの何を知ってるの!!!?」
フィン「ケイトのこととなると、随分饒舌になるね」
アイズ「!フィン…」
フィン「だが、それについては同感だ。
君達のそれが変わることは元より期待してない。
ケイトの記憶を通して、君達の行いは散々見てきたからね。
随分と楽しそうだったじゃないか。
人を不幸に追い込んだ上で、遊び友達とたくさんこれ見よがしに遊んで。
一人きりのそれを尻目に笑って罵り誹り…君達は一体何様のつもりだ?」
その時、鼻で笑って彼は返してきた。
「被害者だよ」と、笑いながら。
それとほぼ同時にアイズは青筋を立てて「どっちが!」と抜剣した。
被害はあからさまにケイトの方が大きい、圧倒的に。
今現在も増やし続けているのだから…