第94章 創傷(そうしょう)
いつ崩れ落ちてもおかしくない…
それが…ケイトの現状だった
「人を見ない心」、癌一同と半グロの「原点」
それこそが…
「罪を受け入れようとしない心の化身」
「その願いそのもの」として転じてしまった証――
罪を犯した
その罪を犯した事実を受け入れない
自覚が無いだけで、罪人は罪を上塗りし続けてしまう
罪人の罪を手助けすること、味方すること
それらの行為は全て、加担行為に該当する
だから…
元々魂に、罪を宿しているものは隠れ癌へ
宿していないものは半グロへ変異させられる
強制的に…本人の意志等、関係無しに……
【始祖神の削りが規定の数値に達しました
保護します】
ケイト(誰だ…誰の、声だ?)
暗転した風景に白く文字が浮かぶ
あの時と同じように――←4553ページ参照
白の国…
白の国からの声で
強制的に護送された
2025年9月13日13時00分
この日を境に…下界へ降りてくること自体が叶わなくなってしまった
護送したのは…天神星・雷王の星長である龍神と、白神星・イヨラダの星長の息子であり一族の族長であるシェパード隊長だった
霊体を削ることによる実在化の補強…
それを封印された
龍神「これ以上は命に関わる
癌一同が消えた今…それは必要の無い機能だから」
ケイト「じゃあ…魂を削ることは
龍神「それも無」
ケイト「……(唖然)
…え?」ぽかん
龍神「不毛
これ以上は皆無とする
貴方の命は、今後の存続へ直結する
これ以上の介入は不可とする
半グロへの救済は不可とする
全て…遍く全て…消滅不可避とする
ケイト「半グロに変異させられる人達は!!
龍神「させればよい
ケイト「そんな!
龍神「消滅させるべし」
ケイト「なんで!!
龍神「貴方が消えれば全て消える!!!!!」
ケイト「………
そんな…の……」
(ぐっ)←俯き、肩を震わせながら拳を握り締める
勝手だよ
………
なんで
龍神「消さねば貴方は無理をする
ケイト「!!
そ……
私の…せい?
龍神「違う
時間の問題だった
全て
だから消す事態へ陥った
陥らせたのは本人の意志
貴方に非ず
悪いのは味方した人
助けた人
その罪を、罪と受け入れようとしない人
罪と受け入れ、拒否し、忌避し、避けていれば…助かった
それをふいにしたのはあちらの方だ