第93章 深淵(しんえん)
ケイトの想いに、初代は優しく撫でながら応えた
初代『助かることは無いし…
貴方をただただ摩耗するだけ…
だからお願い…半グロも、見捨てて?
癌一同より…厄介な存在なのよ……
貴方を殺人未遂した、罪を犯したのだから……
ギリギリ、既の所で、未遂となったけれど
明確な殺意は無かったけれども…
無かったことには、決してならない…出来ないのよ……
だから…わかって?』
ケイト『………うんっ』
初代『辛いのは…貴方だけじゃない
他にも助けたい人は…いっぱいいる
でもね…駄目なのよ
癌一同と一緒なの
どれだけ求めても、大事にしても…報われることなんて無い
もう既に…そこまでの影響を受けてしまっている
だから……貴方が、そんな状態になっている…
これからは……半グロの為に、身を削らないようにして…
半グロを善だと信じ、想う人達にも……
お願いね?』苦しそうに笑い掛ける
辛そうな顔で、優しく頬を撫でられるケイト…
ケイト『…………(ぎゅうっ!!)←背後に腕を回し、抱き締める
うん……
わかった』ぐすっ
それに…涙ながらに頷き、抱き締めていた
それに抱き返し、優しく背を撫でてから、頭を撫でていた
自分で距離を置くしかないの…
その言葉に、僕も大きく同意した
一人までしか汚染された星からは見舞いにはいけないらしい
もうそれぐらいにまで苦しんでいる
死に掛けてしまっている
とのことだった…
まだまだ幼体だそうだが…
キリストもそうだったらしい
神だったが、未熟児のままで…母と同じ人間のままだったそうだ
ケイトも同様だったらしい…
半グロを庇うこともまた、罪になるらしいので…癌一同と同様に厳禁とされていた
そして…――
それらの半グロが消滅、いや、隔離を徹底された頃…
ようやっと…大丈夫な範囲でのみ、絞り合わせることが出来た
そして―――ケイト自身、未だベッドからは起き上がれはしないものの…辛うじて、意識を保てる程度にはなりつつあった
実在化における障害…
支障を齎して回る半グロ、闇の煙……
それらの問題はまだあり…癌一同はまだ、潰えてはいない
その半グロの中に残っている…
そう痛切に感じざるを得なかった……
そして――ケイトの負担を減らす為にも…隔離し、遠ざける道を新たに選んだ