第16章 悲鳴
殺したいと喚くそれは、ようやく鳴りを潜めた。
荒れていた心が、少し落ち着いた。
だからこそ巡り会えた。このオラリオの地で、出会うことが出来た。
それは素晴らしいことに違いない。
出会えてとても幸せだった。今も幸せで仕方ない。
共に過ごした日々が、温かさが何度でも叫んでくる。
それでいいじゃないか…今、幸せという時期に巡り会えたのだから。
不思議と目が潤み、涙が零れ落ちていった。
そうか…それを伝える為に、ロキは敢えて何度も何度も憎いと告げたのか。
漠然としたそれに、僕は笑った。
フィン「ふふっ…^^//」
ここに入って、彼女と出会えて、それが堪らなく嬉しい。
どんな過去も、それで今も障害が残っていても、それ以上に得たものがある。
素晴らしいものが、ここ(心)にある。←胸に手を当て握り締める
それに目を向けてやれと、身を以って囚われるそれを演じて、示し続けてくれたことに深く感謝した。
まあ…ロキのことだから、怒っていたのは本気だったんだろうけれどね?
そのことにようやく気付けた僕は、念の為とアイズ達にも同じことを伝えた。
僕達もケイトも、互いに出会え、変わり、成長に繋がった。
互いにとって、掛け替えのない家族となった。
それは、過去のそれなんかとは『釣り合いの取れないほど』に素晴らしいことだと諭した。
僕としても…彼女と出会えて、変わった。
打算なんかは必要ないほどに純粋な彼女を前に、共に過ごすようになって、不思議と心が和らいでいったのだろう。
それに比べれば殺意など、なんてことはない。
そう思えるほどに、彼女と深く繋がり合えた。どれを取っても、幸せな時間だった。
身体だけではなく心で、互いに愛し合い、ありのままをさらけ出し、ぶつかり合い、家族愛(ファミリア・トレジャー)という形になって発現するまでに至った。
ろくに自分のそれを、愚痴さえもできなかった当初のケイトからすれば、今のそれとは天と地ほどに違う。
伝えられるようになって、心で抱え込んでいたそれまでぶつけられるようになって…
本当に……比べようもないほど、強く成長した。
それらの言葉に、アイズ達は頷いてくれた。