第93章 深淵(しんえん)
フィン「…………
ありがとう…」
ポツリと呟く声に、静かに頷いた
隊長は犬人の族長
歓待どころか
いじめや迫害を受けて育った
「勝手なやつらだよねえ、人間って
自分たちも世界も全て守ってもらったくせに」
ケイト『守り人は…みんな、俺が人間だからって…動物じゃないからって、仲間外れにしたりしなかった…
でも…人間は、俺が人間じゃないと…仲良くしてくれないんだよね…
化け物…異物でしかないから……』
そんな想いがあったことを…浄化している内に知った
愚か者の仇返し者
地球への総評は、なんら覆ることも無かった
二代目の闇について、ようやっと教わった
隊長「初代の闇、二代目の闇
それらは…自らの命が危機に陥ったことに伴う、防衛本能
いや…
言うなれば生存本能に過ぎない
初代の闇が出ていたのも…それに伴うものだ
二代目の方が少々荒っぽいが…
それは……守りたいこと、想いの強さへの裏返しに過ぎん
生まれたばかりの赤子に50トンの荷重を掛けて潰し
そこに石や罵詈雑言を浴びせ
それでも初代が守りたいものを守りたいと、懸命に踏ん張り無茶を繰り返した」
ケイト『大丈夫だ(微笑)←優しく笑い掛ける
はあっはあっはあっ
(ぐぐっ!)←力を入れ踏ん張る
大丈夫に、するから
心配するな^^
な?^^』
ぐしゃ
ぼきごぎぐじゃびぢゃ
脳も心臓も肺も潰れ
目も見えず耳も聞こえず
全て潰れ、原型も無くし
それでも立ち上がり懸命に食らい付く
それでも貴様らはトグロを巻き、くだを巻き
全てを人のせいにし、責任にし、自らに出来ることもせず
何か悪いことがあれば、起これば全て原初の始祖神のせいだなどと息巻き
下らん言い逃れで人を追い詰め、追い込み、更なる負担へ追い遣り
それでも…それだけ強いられ絶望しか無い中でも、捨てられない心を一方的に私的利用され踏みにじられ続けた
ケイト『あいつは…初代は、俺が神になるまで、懸命に堪(こら)えてくれた、頑張ってくれた
今度は…俺の番なんだ…(微笑)
あいつの守りたいものは…全部…必ず守るから――!!
死んでも、捨てねえ』睨視
自分がいなくなくっても大丈夫なように……
その願いが…あの闇が放った光、その正体であった……
実在化に支障が生じないように
闇の煙に犯された皆が…無事で過ごせるように……
