第93章 深淵(しんえん)
隊長「寝かせてやってくれ」
肩の上に手を置かれ、言い放たれた
ずっとベッド脇で、回復を待ち続けていた
恐い…
恐い!!
なにか…嫌な予感が、全身を駆け巡って悲鳴を上げ続けていた
そして…
2025年9月6日
僅かに目を開け…
瞬きを弱々しい力で行い
小さな、震える声で、呟かれた
ケイト「もう…ちょっと…
我が儘、言ってればよかったなあ
ほんのちょっと……
ほんの少しだけでいいから……
もう少し…一緒に、居たかったなあ
ぶじで…
よか……」
その言葉を最後に…
息を止めた
完全に止まった
かくっ
ぴーーーーーーーー
直後、無機質な音がずっと響き続けた
2025年9月6日
3:30絶命
その瞬間、シェパード隊長が駆け付け
必死で揺すった
それから黒い掌大の通信機を手に取って叫んだ
隊長「全体へ通達!!
次期原初の始祖神絶命!!
次期原初の始祖神絶命!!
至急応援求む!!!
このままでは全て消える!!頼む!!!!」
その目の前で広がる喧騒に…
僕は頭がついて行かず、どれだけ神の力を送ろうとも受け付けないそれに愕然とし続けていた
霊体も魂も完全に死んでおり
どれだけ力を送っても蘇ることは無かった
薬を投与
力を投与
星中の人達
白の国
宿灘
それぞれの国
原初の神々
次期原初の神々
原初の神々界
次世代の原初の神々界全員
それらが力を合わせても…蘇ることは無く、脈打つことすら無かった
世界中の者達、力を貸してくれる者のみ限定
束ねて一塊の力とし
分割して溶け込ませるようにして投与
その折、一度として意識も戻らず、命の灯火が再び戻ることも無かった
その間ずっと……
ずっと…無機質な音は鳴り続けていた
4:30
ようやっと…
再び脈打ち出した
4:32
意識が戻る
フィン「よか…った……
よかった…
本当に……
どれだけ…しんぱいっ」
ぎゅうううう
ケイト「…………」
しかし…その目に反応は無く
何も聞こえていないかのように…
なんの反応も返さずに、眠りに再びついた
それにいてもたってもいられず
咄嗟に揺すろうとする中、再び止められた
隊長「5番の薬剤が効いた
一番強い薬だ…その反作用によるもの、影響だろう
少し待って、休めば治る…落ち着いて」肩の上に手を置いて優しく笑って声を掛ける