第93章 深淵(しんえん)
他にも重要な役割の人達
あんたの側に配置してるからね
そう伝えられた
白の国の人達だけでは無く、宿灘からも直接
宿灘「あんたが気付かないだけで
いないもんはいない
でもね…目を逸らして見えなくしてるだけ
ちゃんといるよ…あんたの側にいる
私も…皆(みんな)も……
だからね…投げ出さんでね?
皆おるからね?
ずっと一緒よ」微笑なでなで←左頬を人差し指と中指の第二関節外側で撫でてから、今度は頭を優しく右掌全体で撫でる
ぽろぽろ
その言葉に…頬を赤らめ、再び涙を零す
今度は泣き叫ぶことも無く
小さく、うん、と返してから、静かに抱き締めた
ぽろぽろと溢れ出す涙は止まらず…静かに寄り添っていた
その背を撫で、頭を撫で、唇を落とした
そうか…こんな母だから、あんな過酷な環境でも真っ直ぐにいられたのか……
そう、妙な確信を得た
へばり付いていた様相とは異なり
そこまで強くしがみつくことも無く
大事そうに互いに抱き寄せていた…お互いに
それを見ていた僕はおもむろに…それに倣って、撫でてみせた
ケイトの左頬を…君の母と同じやり方で
なでなで
フィン「私も…やってもいいですか?//」目を細め申し訳無さそうに笑い掛ける
今度は、霊体ではなく魂の声で……偽らざる本心を…
ケイト「…っ!(涙目ぷるぷる)
一生やって!!」ぎゅむうううう
足を腰に回して抱き締めてこられた
フィン「ととっ」バランスを崩し掛けてふらつく
嬉しかったらしい
フィン「ふふふっ^^//」
はち切れんばかりの安堵と喜びが、いっぱい溢れるほどに伝わってきた
『私達もやってもいいですか?』挙手
ケイト「勿論!!」こくこく
激しく頷かれる中…
再び日常に戻った
明日は休みということもあり、一日皆で遊ぶ予定だ
そうして…僕達は眠りについた
喪った当時の痛み悪夢に魘されるケイトだったが…
僕達が引っ付いていると
胸に手を当て、頭を撫で、優しく頬を同じやり方で撫でていると…
徐々に安心した表情になっていった……
これからも…苦難はきっと続くだろう
それは紛れも無い事実だ
それでも…その度に乗り越えていこう
助けとなって、一緒に日々を支え合い、寄り添い合って
そう強く願い、祈るばかりだった
どうか…皆に、ケイトに、幸多からんことを――