第93章 深淵(しんえん)
ケイト「恥ずかしい…
やらかしたあ
また側にいたら泣いちゃうううう」顔を両手で覆う
なでなで←頬を撫でる
ケイト「側にいるし」俯き涙
宿灘「お母さんはもうすぐで神に至れるからね
大丈夫よ
化身化まで少しだけ!
出来なくても手続きを踏めば入れるから、ずっと一緒に居れるよ!」
ケイト「あい;
ありがとう」ぎゅっ←服を掴んで抱き寄せる
自分を出さない人
それで誰かが傷付くのが恐いから、嫌だから
そちらを優先してしまう人
それがここまで…自分をようやく出すことが出来た
そのことが…嬉しかった(微笑)
その想いは皆同じだったようで
温かい目で、時折涙を滲ませながら、優しく見守っている
何故助けたのか…
わかる……
必死に助けようと、初見で母を見て決めて
知らない人の為であれ、命と自我と記憶を躊躇いなく差し出し
痛み以外何も無い感覚の中、お前達のせいだと当たり散らすことも無い
模範解答のような日々を送る中で、気遣いや心遣いばかりする中で、唯一出た自分…
今度こそ守る!ずっと一緒に居る!
少しでも減らせるように頑張るよお
という想いが、守れなかった痛みが、喪った悲しみが、会えなかったことへの慟哭が
痛いほどに伝わってきた…
痛切な想いが、滝のように溢れる様をまざまざと見せつけられた
それが…あの涙だった
慟哭、それも鼻水を垂らし…しゃっくりを上げ、嗚咽が止まらなくなるほどの……
横隔膜が痛くなるほどの、激痛、悲しみ、喜び、嬉しさ、慟哭、申し訳無さ、感謝、温かい想いでいっぱいに包まれたことへの安堵、安心感、心地良さ…
それらが証明していた……
今度は、ケイトが落ち着いて対処出来ており
昼が終わるまで、えんえん泣き続けていたそれとは異なって
冷静に対応し、抱き締め、頬ずりしていた
全力で引いちゃうぞ?
めちゃくちゃ重いぞ?
嫌なら離れてもいいよ
やだけど
と僕達『にも』言い出すぐらいには……
勿論、その返答は…僕達も、宿灘も…
離れない、大好き、もっとしていいよ、遠慮なくどうぞ
という文言であった…
それから僕達は緊急事態と早とちりして剣を向け、攻撃した点を、誠心誠意謝った
寧ろそこまで必死に守ろうとしてくれる相手がいることに安心した、ありがとう、と感謝されてしまったが…
心底感謝しかない…僕達からしても
そう伝えた
