第16章 悲鳴
でも、本人達はそう思ってさえもいないらしい。
自分のそれが一番大事で、ケイトのそれなど何とも思ってない。
その態度が、自分のそれだけ押し付けるだけ押し付けておいて、ケイトのそれには一切受け入れない横暴が…赦せなかった。
おいたも過ぎれば、そんな彼等彼女等に抱くのは嫌悪感にしかならない。
その結果が殺意で、あのケイトへ干渉すれば滅ぼしに行くという同盟書へと繋がった。
態度で示すケイトを嬲り続けた挙句の果て、きっと大丈夫だからと信じて健気に仕返しもせず、不干渉で傷付けないよと態度に示し続ける彼女をさらには…彼等彼女等は殺そうとした。ロキの言ったように理不尽な言葉ばかり吐きかけた。ケイトの言ったようにそういった類いの言葉しか吐きかけなかった。←465ページ参照
ベートと比べるにも値しないほどに…理不尽に、そういった言葉を一方的に…
好きな人などいない。人自体を好きになれるわけもない。
育ての家族以外には受け入れられずに育った。
その結果が…あれか。
あんなやり取りができる子が、どう見たら悪人に見えるのか…理解に苦しむばかりだ。
純朴なそれを平気で…放っておこう。こんな考えは。
どれほど考えた所で、あんな奴等の思いはわからない。
人の人生を狂わせてまで当たり散らし、平気な顔をして生きていられる彼等彼女等の気持ちなど…わかりたくもない。
そこまで考えを纏めた後で、僕はロキに語り掛けた。
フィン「すまない、ロキ…
僕には彼等彼女等を変えれるとは思えないし、その変える力さえもないだろう。
彼等彼女等にとって、彼女の今後の人生や価値観を変えることも、それで彼女だけが得続けてきた傷も、彼女がどれほど自分を責めて自らを殺し続けていても…その全てが…
それほどひどいことをしたと思わない。たとえそれで死んだ所で毛ほどにも思わないだろう。
いや、あえて言うなれば喜ぶかな。どうにもケイトの不幸を見ることを好む傾向にあるようだからね。
僕にはその価値観を変える力もない。
権力で強制した所で媚びへつらうそれでしかないし、持って一時的だけだ」
そう伝えると、本人は本気で寝ているようでいびきが返ってきた。
ふふっ…何故ロキは、あんな話をしたのかな?
決して、気分がいいものではないだろうに…