第93章 深淵(しんえん)
宿灘「一緒にいるよ
だから…ね?」
ケイト「やだあっ」ぼろぼろ
引き裂かれそうな痛みに灼かれているように見えた
宿灘「初代に…
死んで欲しくないでしょ?」
ケイト「…………
うん」こっくり
宿灘「大丈夫
また会えるから
ね?」
ケイト「約束だよ?」ぐすんっ、ずびびっ
宿灘「うん!
だからね…
投げ出さずに生きてね?」微笑
ケイト「うんんんんんん」ぐすっ、ずびっ
宿灘「ずっと一緒に居るから…ね?
ケイト「一緒におる?
宿灘「おるよ
ずっと……ね?」
ケイト「うん…
ずっと一緒だよ?
宿灘「何回言うねん
ケイト「一生言ううううう」ずびびっ
宿灘「ありがとう…そんなに想ってくれて
大好きよ^^
ケイト「わだしもおおおおおおお
だいすぎいいいいいい」ひしいっ!!
宿灘「よしよし(微笑なでなで)←優しく抱き返し頭を撫でる
……もう大丈夫?
ケイト「うん
大丈夫にする!
大丈夫!!(ゴシゴシ!!)←袖で鼻水や涙を擦って落とす
ありがとう…ごめんね?
こっちでもあっちでも迷惑かけて
いっぱい
宿灘「なんてことないよ?
せやから気にしなさんな
またね…?」
ケイト「うん!
またね!」手を振る
ヒビが入っていたのが
新たな魂の膜の方か
古い方なのか
それ次第によって対応や今後の調節が変わる為、確認しに来た時でのことであった
現時刻、12:51
ケイト「一生大好きだよ?」震え涙←ほんとは別れるのやだけど、必死に堪えてる(我慢してる)
宿灘「私もよ?」微笑
ちゅっ←宿灘がケイトの唇を奪う
ケイト「おかあさん
宿灘「ずっと愛してるわ…
ケイトのこと、よろしくお願いします」深々お辞儀
ケイトも深々お辞儀し、僕等もつられるようにして深々とお辞儀で返す
フィン「お任せ下さい
必ず守り抜いてみせます
寿命を迎えるまで…必ず」
代表して僕が答えて…
そうして…別れた
また会える別れを――
ずっとずっと流れ落ちていた涙と鼻水が…
やっと止まった
左頬を
右手を軽く握った状態で
人差し指と中指の、第一関節から第二関節の部位で
手の甲側(外側)で、優しく撫でる
それは……お母さんにしかされていない
されたことが無い……
二人だけの、家族だけの…『証(しるし)』だった
もう二度と――されることが無いはずの―――愛しさだった