第93章 深淵(しんえん)
『うん……』
ケイト「もう…苦しまなくていいんだよな」遠い目、微笑
もう閉じ込められる必要は無い
膜はある、けれど…
もう…命も自我も記憶も……何も削ったりなんかはしていない
それが……終わりを実感させていた、一兆五千億年前から続いた…この、戦いを――
自身の広げた左掌を見つめ…ケイトは優しく微笑む
それから…
遠い年月が経つ……
その頃(更に一兆五千億年後)には…
新たなる次世代が生まれ
皆が皆笑い合い、無事に生活出来ていました
誰も閉じ込められず…温かな日差しの下(もと)で、皆が皆…自由に…赴くままに……
フィン「まだ終わらないよ?」
ケイト「え?←フィンを見やる
フィン「まだまだ続くんだろう?」微笑
ケイト「…うん!」にこ
そして…物語は続いてゆく……
未来へ向かって――
エル「それでこの事象はなんですか?
こちらの世界でも出来ますか?
やってみませんか出来ませんか?
ケイト「あー…;
ちょっと休ませて;
ここん所、悪阻がきつくって;」うっぷ
エル「気持ち悪い!
ならばムー連邦の薬を飲んで布団に横になって下さい
無理は禁物です!さあ!」
ケイト「あ…ありがとう;」
エル「質問へは時間がある時でいいので」
フィン「代わりに僕が答えるよ
ずっと隣で見てきたからね」挙手
エル「あ!
是非ともお願いします!!かたじけない!」ぺこぺこ
その取材劇は…一日ずっと続いた
ケイト「お…お疲れ様;」滝汗だらだら
フィン「ああ…
大したことは無いよ?」声が震えている←実はかなり限界
ケイト「強がりが見え見え;)
じゃあ…さ……
私の膝で、休むか?//(ぽりぽり)←頬を掻き目を逸らす
フィン「!!」瞠目
ケイト「あっちじゃ…散々恐い思いさせたり、一杯苦労させちゃったしさ」思い返し眉間に皺を寄せ、瞑目してから肩を落とす
フィン「いいのかい?
ケイト「勿論!←力強く頷く
あ、嫌じゃなければだよ?;」あわあわ←手で制する
フィン「ありがとう(瞑目し微笑する)
有難く頂戴するよ、ふああああ」ころん
そのままケイトの膝を枕にして眠り出すフィンであった…
それから、安らぎの時間を貰っていた
恵土の御屋敷
その自室でのことだった
今日一日(8月17日)はゆっくり休む――そういう約束だったから