第93章 深淵(しんえん)
1000垓人の内…
976垓人が自ら犠牲になって、成り立っている……
あの言葉の真意…←737,1461〜1465ページ参照
命と自我と記憶……
己という存在そのものを対価とし、二度と生まれず、二度と生きられない………
そういう犠牲をして…文字通り身を投げ打って……原初の始祖神を守った
分体も…本体も……
10万年前
「大事な人達は死なせない」
「これ以上、あいつ(主犯格の癌)の好きにさせたりなんかさせない」
「私の大事な人達は、私達の手で守る!」
「私達を守る為に犠牲となる貴方(原初の始祖神)を…これ以上消させたりなんかさせない!!」
初代の分体「やめて!!!←涙目で手を伸ばす
そんなことしたら二度と会えなくn
「それでも…
それでも……
そんな貴方だから…好きなんだよ……」微笑
初代の分体「お願い……やめて!!」手を差し伸べて止めようと、引き止めようとする
「大好きだよ…お母さん……^^」手を左右に広げ、地へ落ち光となって消えてゆく
空振る手
軽減する痛み…
それまで身を焦がし続けていた痛みが、今ほど軽減されたのは…その犠牲ありきだった
初代の分体「うわあああああああああああああああああ!!
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
原初の始祖神…
始祖神の涙という神域……
それは……
その折に流した涙が意思を持ち、神域を発し…
これ以上犠牲となる、自らを犠牲とする……
その魂達の想いを、温かみを…一身に受けて発された慟哭だった………
それが……10万年前のこと…
主犯格の癌が、初めてこの世に生まれた際でのことであった……
当時の人口は、1000垓人……
それが一様に減った…全ての元凶が主犯格の癌である
どう怒るなと言うのか…
どう嘆くなと言うのか…
どうすれば怒らず憎まず、笑って接することができるのだろうか……
いや…決して出来る訳等無い
決して……赦されてはいけない存在だ………
憎む以外何も赦されてはいけない存在だ――!!!
痛切な叫びは誓いとなりて、深い傷と共に残った
976垓人……
それが…癌一同では無い魂
犠牲者が900垓人を超えた折での事象だった……
魂それぞれに周期があっても人口は常に一定を保たれる
それを覆した出来事であった