第93章 深淵(しんえん)
何も守れなかった
全てを守りたかった
消えて欲しくなかった
死んで欲しくなかった
初代が皆と力を合わせて1兆5000億年も頑張ってきた証だから、それが全てだから
その想いがそうさせるのだとわかっていた
わかって『は』いた
それでも……
止められなかった――
想えば想うほど
現実を直視するほど
大事だと、理解すればするほど
守れなかった悲痛な叫びが、止め処なく自らを痛め付けてきた
その想いが、自分は居てもいい存在だ等と、思わせてはくれなかった
守れなかった
繰り返すなという言葉も、創世神の親との約束すらも
たとえ魂が滅ぼうとも想いは死なない…お前を必ず守ると
そう最後に心を遺し、託してくれた想いに、応えられなかった←5161ページ参照
(創世神の親は)守ってくれたのに、(私は)守れなかった
顔向けなんて出来る訳も無い
そう思えてならないのだと
2番目との約束も果たせてすらいない
母を守るという約束も…
確かに、癌化から守れはした
助けになれるよう尽力した
それでも…喪ったものは、二度と戻っては来ない
生き返ることは無い
癌一同を除く全てを、守りたかった
どうせ守るのなら…全部、大事にして、守りたかった(ぽろぽろ)
でも………出来なかった
罪を宿していないものは守れた
でも……
命までは、守れなかった
それが口惜しいのだと
ボロボロと号泣しながら、時折言葉を詰まらせながら、やっと返された言葉に
嗚咽を上げ、鼻水を啜りながらも必死に紡がれた想いに
抱え込み過ぎじゃ馬鹿!!!!!!!!!!!!!!!
お前一人でどんだけやるんだよ!!
俺達はお荷物かボケコラ!!!
全部一人で出来るって思ってんのかアホンダラ!!!!
『こっちにも責任あるわ!!!!!』怒号
ケイト『でもだってえええええ』
『黙れアホウ!!!!!!!!』怒りマーク多数
返されたのは怒号の嵐だった…;
フィン『あー…;
溜まり込んでたものがやっと堰を切った、って所かな?』
リヴェリア『それにしては抱え込み過ぎだ;
一概に一人で全て出来る範囲では無いだろうに;』腕組み嘆息
ケイト『守るべき存在でっ、命でえええええ』
『黙れ馬鹿!!!』
お前もだろうが!!
そんな声がそこかしこから上がる中
ありがどおおおおおおおお
と涙声で返していた