• テキストサイズ

Unlimited【ダンまち】

第93章 深淵(しんえん)





それがケイトの口によって明かされた後(世界全体へ生配信、放送されている)…

酷い奴がいたもんだなあ
でもそのお蔭で今に至れた
よかった!


死んでくれてありがとう
消えてくれてありがとう

これで後顧の憂いも無く、安心して生きていられる!


笑って!!


そんな想いが口々に齎された



守れなかったこと、守り切れなかったこと…それらへの謝罪も併せてする最中
ケイトが直々に頭を下げる最中、ケイトを怨むものはいなかった
一人として

ケイトは…守ろうとしてくれたから


癌一同のように、見向きもせず、笑って同じ死者を次々に出していき、
それでもなお罪の意識もまともに感じず、認識することすら出来ない

癌一同が行ったそんな扱いで返された訳では無い為、「寧ろ怨むべきは「癌一同」だ!!」と口を揃えて言ってくれた

顔を上げてくれ、とも……


自分のしたことで無くとも、背負うことが出来る
繰り返さないように努めることが出来る
それこそが大事なのだと

貴方はそれを必死に体現してくれた、私達を死に物狂いで守ってくれたと


命と自我と記憶を引き換えにしたこと、ちゃんと知ってるよ!
そう7歳にも満たない子ですらも言い出す始末だった

全ての自由と時間を対価にして、私達に際限無く自由と時間を与えてくれたことも!!
とも

貴方(2代目)一人で!!創世神様(初代)も一緒になって!!

それでも返した言葉は…


ケイト『……済まない』
その一言に尽きた

頭を下げたまま、顔すらも上げず、目線も合わせず…只管に、詫びた



顔を上げて!!!
その言葉に対して、即座に返された怒声

それを受け、やっと頭を小さく上げ、目を向けくれた


人の罪は、それを犯した本人のもの!
貴方のものじゃない!

それで全てを背負おうとするのは、自分の罪だと思うのはお門違い
傲慢だ

一人で背負うな!!

その声に、口々の叫びに、老若男女問わず齎されたそれらに…ようやっと顔を上げ、正面から、目を、顔を合わせた


その顔は…泣いていた……

静かに、嗚咽さえも上げず
沢山の人が死んだ


最初から癌一同を消してさえいれば、そうしてさえいたら…きっと、助けられた

沢山の命があった、想いがあった、痛みだけじゃない全てが

そう想えば想うほど、忍びないのだと
痛々しく、顕著に伝わってきた


/ 5726ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp