第93章 深淵(しんえん)
地球に降り立った折、無数に人々が覆い尽くしていた
エルに至っては父上へ報告すると言って
海底にあるムー連邦の墓前へ赴いて供えに行き出し
次から次へと、心の赴くままに行動に移し出していた
創世神だった頃…最初に創った神域――
それは、癌の世界を封印する為のものだったかもしれない
だが…
今や、清浄を齎す『彼(か)の神域(原初の神々の神域)達』に並びしれない存在へと神化した―――
全ての神域が浄化された今…もう、二度と癌が生まれいづることは無い
14垓人もの癌一同を除いた全てで培い、積み上げてきた全てが――そう証明している
『流宴(るえん)』
『その力』が――そうはさせたりしない
皆も皆…そう願って止まないから
誰かの勝手で、好きに扱われたり、責任や罪を擦り付けられたり、それを善だと歪める思想を押し付けられたりなんかは…されたくなんかは無いから――二度と
絶対に
繰り返してはならない、してはいけない…誰もがその犠牲者となった今だから、散々辛酸を嘗めさせられた身だから
『流宴』は――『皆の願いを叶え、守る力』だから―――
『守り』が『守り』たる
『創世神の親の分体』が『創世神の親の分体』たる
原動力であり、根源そのものなのだから
臥薪嘗胆の想いで、最期の瞬間までチャンスを与え、全て消し去った
主犯格の癌のみではなく、癌一同の全てを
癌一同は…中でも主犯格の癌は…‥1000垓人もの人々を殺すだけでは飽き足らず、創世神を除く全てを消し、自分のしたことを理解出来ず受け入れられない、笑い声を上げ続ける愚か者、大罪人だから
人を見ない人がどうやって守る?
どうやって過ちを繰り返さないように出来る?
現実を正しく認識出来ず、都合よく歪めて正当化する人間に…どうやって犠牲を無へと縮めることが出来る?
縮める所か逆効果、あまつさえ街を壊して回り国を滅ぼして回り大陸を海底へ沈め、それでもなお…罪を感じることすらも出来ない
そんな人間のどこが善だ?英雄だ?
英雄ごっこに打ちひしがれて悦に浸る、英雄気分になりたいが為に全てを正当化して押し付けるばかりか敢行し、その責任も罪も全てへ着せて回る、勘違い野郎でしかない
そんな存在であってもなお実在出来る、その為に創世神の親が自ら創った世界が、癌の世界だった