第92章 新たな神武(しんぶ)
ケイトの死後
神々が下界で一人の住人として、下界の全てと融和を果たし、共存を共に築き合う…
誰もが『幸せ』になれる、誰もが在りたいように『自由(ありのまま)に』在れる
そんな『待望の未来』を共に築く、『最高の時代の幕開け』となる物語だ
新仁類(しんじんるい)の誰もが神(覚醒)へと至り、神々の力(恩恵)が失われたとしてもなお果たされる、冒険者達の、下界の人々の、新たな可能性を表している
ケイトが果たした偉業――その中に、癌化の根絶がある
しかしそれは皆、夢物語とされ、誰もが形骸化したものとして捉えられる始末だった
眉唾物とされ、伝説とされたそれは…遠き過去へと消え去ることとなる
「自分に都合よく捉えて欲しい、自分は悪くない」と全てへ求め過ぎたが故の自己破産、自己のみならず全消滅させる諸悪の根源
それへの、癌化への危険視を、自らの罪を植え付ける行為へ、自らも含めた全ての癌化へ至らしめる「危険因子」を、軽視するものとなる
おとぎ話とされ、忘れ去られることとなる
仁類は皆、身近なもので無いと現実と認識出来ない生き物だから
死した後、本物、本当だったと判明するが、理解することになるが…
下界の者達は知る術も無く、都合のいい現実に酔いしれる有り様となる
神々は黙認し、癌が出ないかに重きを置き、注視しながらも、共に歩む道を選んでいた
監視役として残ることを選んだのだ――
その果て無き先(未来)を、僕等は見た―――
しかし―――
キタルレス化した段階から――
その時点から―
癌が再び息衝くことは、一度(ひとたび)、一度(いちど)として無かった
そう願ったから―――それは皆…同じだから――――
比類なき功績として記されているのは…あれら(5367ページ参照)のみ
7月19日(冒険者117日目)にして―――
〖深緑の業火〗にて…
『神武』が与えられた――
天翼と一体化した創世神の膜であるローブ、天輪もとい光背、腕時計型携帯と化した腕輪が光を一切発さずにいた
化身化した状態
全力を出す形態、状態でありながら
それが――化身化の先、神武…その更なる先…‥光を全く感じさせず、それでいながらそのままで発せる、最後に行き着く御業
名を――無間(むげん)
間も与えず色も光も無く発される力だ