第16章 悲鳴
落ちてしまった。
それは、彼女という存在から抜け出せなくなった。
彼女なしでは生きていけなくなったという意。
最愛の存在に振り回されながらも、それさえも心地よく感じてしまうほどの愛を知った。恋を知った。
結果として…今まで他人にはしなかったことまでしているわけだが、彼は無意識の内にしていたようでそれに気付いていない。
愛しいという想いさえも、それまでで初めてだった分、大いに多いのだということも。
本当なら、ずっと隣にいたい。
でもそれは無理だ。仕事もある。
団長という立場を放棄してまで隣にいることは無理だ。
リヴェリア達は気を使って行けるようにしてくれているが
本当なら、治療の場をホームでして欲しいと言いたくなる。
でもそういうわけにはいかない。
ここまで考えた後で腰巻きをケイトへ預け、願掛けも兼ねて彼女が起きるその時までずっとかけたままにする。という行動に至ったのだった。
その頃、闇派閥では
「あいつめ…あの、薄汚れた英雄めっ!!」
だあんっ!!(机を叩く)
「ちっ。護衛もロキ・ファミリアだけだったっつうのに、フレイヤ・ファミリアまで!」
ヴァレッタ「人造迷宮に割かれていたことでできてた警備の穴まで無くなりやがった」
「お陰で計画は台無しだ!(わなわな)
デミ・スピリットも単独で殺され、扉は奪われ、機能を失った本拠地を敗走する他なかった!
だと言うのに…(ぎり)
今も回復に向かっていると聞く!
3日でこれだ。全快した時が闇派閥の敗けだと思え!!
目障りにイシュタル・ファミリアの回りを嗅ぎ付けやがって…」
「ちょうどいい。イケロス・ファミリアにいるあの末裔に言うか?」
ヴァレッタ「いや、私と同じタナトス・ファミリアにいるバルカがまた《神秘》で不治の呪道具を作った所だ。
それを使えば…」にや
「ああ、なるほど!
それはいい考えだ(にや)
英雄は最早使い物にならない。意識も戻ってはおらん。
呪道具ごとそれを台無しにはされまい。くっくっくっ。
ならば…その間に口封じをしよう」
ヴァレッタ「武器の数が揃い次第、私は行くからな?
今度こそ殺してやる!」凶笑
「ああ、朗報を待っている」
嵐のような一日から2日後の昼…
イシュタル・ファミリアの元冒険者、アマゾネス達が殺されるという事件が勃発した。