第92章 新たな神武(しんぶ)
癌一同を実在化させ、最後のチャンスを齎し…
罪を持たぬ全てを守り、神へと至らせる為の道具…
原初の始祖神の容れ物、初代を宿し自らも2代目として宿る存在……
実在化をする上に置いて…自分にしか出来ないことをしているのは皆同じ
だから全体を大事にすべきだと捉え、その事に重きを置き、皆を皆重んじていた
しかし…今ある現実を当然と笑い、享受し続けるそれに……
感謝もせず、現実を認識もせず、正しく知ろうとさえもせず、
勝手な認識で、閉じ込められ、全ての自由を奪われ死ぬまでの最期の瞬間まで、自らの全てを犠牲にし続けているそれを…笑う全てに……
怒りを禁じ得なかった…
今も苦しみながら、痛みや哀しみに揉まれながら、涙を流しながらも必死に皆が在れるようにと、幸せで居られるように、過ごせるようにと、必死に藻掻く初代への嘲笑にしか見えなかった
自分だけでは飽き足らず、中に居る初代にまで、ぞんざいに扱われ続けたことに伴い…心が貧しい者達のみに囲まれ続けたことにより、この世、地球限定の75%が癌一同であることから…そんなものの為に頑張ってきた現実への怒りと憎しみが爆発し、暴挙への反逆となって…大きな意志となって身に宿っていた
ケイト『何も言わない、感じない存在じゃない』
今にも消えそうな声で、剣呑とした表情で、暗く沈んだ面持ちで、
目に光も無く顔の半分を黒ずませたまま、静かに呟く
『え』?
ケイト『――っ!(ギリッ!!)←歯噛みする
血肉じゃない!!
奴隷じゃない!!!
どれだけ泣き叫んだ所で…
少しでもいい結果に繋がることなんて無い
欠片一つさえも……』
光の粒となった破片を、左手で握り締める
ケイト『何も思わないで
何もやり返さないで
何時までも何時までも…
笑って……
見殺しにし続けることを
善と歪めてりゃあいいんだ
永遠に――
悪とも思わず、虐げとも思わず
笑ってりゃいい
何も悪いことなんかしてないって
………
癌と…何が違う?』
瞑目し、背を向け、顔ごと、姿勢ごと背ける
ケイト『笑えよ…
どうだっていいだろ
楽しいだろ?
嬉しいだろ?
――幸せだろ?
人(初代と2代目である自分)が苦しむことこそが、さ』俯
パッカーン!!
張り倒した
僕等は違う!!とばかりに
それにケイトは目を丸くしていた