第92章 新たな神武(しんぶ)
与えられるがままに享受し
人も見ず、勝手に資源を見出して荒らして奪い
好き放題に弄び、何の心も痛まずに笑って生きていられる
とてもでは無いが、善良とは言い切れぬと
守り人の長は言っていた
お前は…
人間の中で唯一、守り人として選ばれたのだと
そのことを誇りにも思ったし、
少しでも返したい…大事にしたい
そう思ったのも確かだ
じっちゃんだけじゃない…
長老にも、色んな大事なことを教わった
自然をなす
あるようにし続けるのは
ひとつだけでは成り立たぬ
ある自然に、その恵みに、
感謝を忘れ、敬意を忘れ、
自らの好きに弄び、増長し、
自分一人で出来るのだと過信し、
自然を見ることを忘れ、土地との対話も怠り、
動物達でも出来ることを、自ら放棄し、出来なくなった
和となす
和を乱すなと
どう生きるかを決めるのはそちら自身だ
私では無いし、人に押し付けるものでは無い
ただ…
楽を知ったものは、抜け出すことは決して容易ではないとも言っていた
人が変わるのは、難しいと思う
子孫は祖先の過ちを過ちとも思わず継いでしまったし
それが続いて今があるのだから如何せんどうにも…(う〜ん)
あるものに
齎されるものに満足出来ず
人を見ずに荒らして奪い
悲鳴に耳も傾けず
好きなように弄び、乱し、全てを人のみにいいように歪めた←涙を流す
それが……
人という種の犯した罪
今も重ね続けている罪だと
長も長老も、じっちゃんと一緒になって言っていた
5000年前…
関わりを断絶しなければならなくなったのは……
守り人であった者たちが森から離反し、人族側へついたからだ
開拓と称して、神域まで好きに弄ぼうとした
いや……暴走する人を、守ろうとしたのかもしれない
しかし…それは事態の解決では無く、混乱を齎すものとしかならない
事態は悪化しかせず…血が流れ、自らの罪は無いものとした
その悪しき振る舞いから、断絶すること…人族の全てから……守り人としての権限と力の全てを奪った
齎されたものに満足せず
更に更にと求め
迫害し
好き放題に殺して回った
自然は…そこにある全てで成り立ち、決してひとりでは立ち行かぬものだ
だから…そこにある皆を、大事にし、寄り添い、共に生き、育み合うのだと
それを和という――
それを忘れ、傲るから…穢れるのだと
