第16章 悲鳴
~補足~
基本アビリティとは「力」「耐久」「器用」「敏捷」「魔力」の5項目からなる基礎能力であり、一般的に0~999の数字と等級で示されている。
その数値は訓練や実戦によって得られる【経験値】によって上昇する。
ただしその数値の上昇に必要な【経験値】はレベルアップ(ランクアップ)に必要な【経験値】とはまた別物であり、能力値が増える類のもの。
ケイトが発現させたスキルの《愚突猛進》にある効果、『数値・発展アビリティ・スキル・魔法の制限解除及び限界突破及び【経験値】倍加』の【経験値】倍加とは数値の上昇のそれに該当し、ランクアップのそれではない。
発展アビリティの等級を上げるのは非常に困難だが、愚突猛進の効果であり得ない勢いで上がっている。
ロキは敢えて混同させるよう首脳陣に伝え、ケイトへ抱く想いを引き出した。←71~73ページ参照
~補足、了~
ケイトの弱点及び天敵は『強力な呪詛』。
例のアスフィが作り出した魔道具無しでは、単独の浄化では解呪し切れない。
5歳半に《精霊寵愛》によって『血に常に傷を治す為の力が、肉に体欠損回復、骨に状態異常回復といったように効果が分けられており、『全身が同時に消滅しない限り』死なない』という効果があった。
毎日欠かさずその頃から大気中から魔力を精霊を介して体内へ取り入れつつ、体内で保有する魔力量、すなわち器を10年近く拡げ続けていった。
その日々強大となってゆく魔力に耐え続ける為、魔力自身が毎日細胞に『力を強める』という効果を示し続けていたのだと、今回の件を以って証明された。
魔力の性質は『浄化』でありながら、人や物(特に自身)に対して使用した際に示す効果は『強化(倍加)』。
その魔力を生み出す細胞自身もまた、毎日生み出し続けるという過程を以って魔力の持つ性質と効果が浸透。
その結果、無になりかけた際の呪詛が引き起こす『驚異的な悪あがき&増殖』へと繋がったのだった。
ということがアミッドの口から明かされ、まだ油断のならない状況であることには違いなく、「気付くのが遅くなってしまいすみません」と彼女はフィンへ謝罪した。
が、「それだけでも十分だ。よく戦った」とケイトの頭を抱き寄せながら彼は呟いた。
愛し気な眼をケイトへ向け、優しく頭を抱き締め擦り寄る彼に…アミッドは微笑ましく見守っていた。