第92章 新たな神武(しんぶ)
以上が…ベルが嫌いだと言った理由の根源である
消えて行く最中ナビィが言った言葉もあって尚更だった
ナビィ(ごめんね…この子、死ぬほど穢れてる……
もう…意識を保つのも)
難しい
続けられるはずの言葉も無く、絶え果て…その念話すらも弱々しくケイトの心の中に響いていた
声を発する力も無く、それすらをも込めた回復により…
幼いベルは走って逃げていった
そして……
最期の力を振り絞って……移動しながら、言の葉を紡いだ
それが――――
ナビィ『ケイト…
ありがとう…大好きだよ^^』
それから程無くして…
ナビィという『片割れ』を亡くしたことで、危険に晒されることとなった
ケイト『いつもありがとう
どうか……
お願い…お前は、死なないでね』
願いを込めたそれは――
下級精霊を一気に上級にまで引き上げ、体が耐え切れず光と成って崩壊し始めた
その折、精霊は自らケイトをベースとして精霊寵愛へと繋がった←31ページ参照
お前まで居なくなったら…いやだ
そんな痛切な想いによるものだった
それを、ノアールはしっかり受け止めていた
だからこそ――『精霊寵愛』という形と成った
その後…6歳になるまでベッドに縛り付け固定し腕を足を千切り目をくり抜く等々、無数の残虐な行為をした←32,553ページ参照
本来なら精神が死ぬまで続けるはずだったのだが
後に義兄となるリヨン・リードにより、身分や金や職の全てを渡すことと引き換えに助けられることとなった
そして――姉を喪い、フォボスと出逢い、癌クロッゾを出奔させる為に殺され、守る為に約1年打ち続けて創った神鉄入りのお守りも癌パルゥムに奪われてパスパレードでリヨンを殺され、父に母を殺され、父を街の人々に殺され、どちらも事故死として処分され、引き取ってくれた家族に大事にされ、ミルキお爺ちゃん(5472ページ参照)に出会い、義妹のシルキーが産まれ名付け親となり、ルーカと出逢い、家族として共に生き、闇派閥の出血が止まらない武器の提供で殺され、ルーカは改宗よりもベル達の襲撃を隠す為に大金を手にオラリオ中をアイシャと走り回ってアマゾネス狩りで殺され、ミルキもウィーネを守る為の魔法で砕けて飛んできた燃える石の破片によって殺された
その全ての元凶、その始まりが―――その日の出来事であった