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Unlimited【ダンまち】

第92章 新たな神武(しんぶ)





「人を犠牲にする手段を取っても毛ほども痛まぬ、人を見ない心、過ちを認めない在り様」を―――彼は消える最期の瞬間まで取り続けた、頑固に、頑なに、何時までも…ずっと……



ゴブリンは最弱
とは言え、殺される

人は一人では脆弱
大人でも鍛えている人でも無ければ、倒すことは愚か追い払えもしない
ましてや子供なら蹂躙され、骨を折られ、柔らかい肉に舌鼓を打たれて終い

それが常識だった


それを何かが守ったのは、火を見るよりも明らかであった

しかし…
水鏡に映り、叫んだその声に……

傾ける耳も無く、勝手に泣き喚いて、ゴブリン達を振り解いて、村へ向けて走り出した


そして…養祖父に助けられ、戻った頃には何も無かった
(原作では戻る勇気すら無かった)


出血が無かった理由は?
服やズボンがボロボロでも、何故肌の見える場所しか傷が無い?
血だらけであざだらけでも、骨折も何も無く、平気で自ら歩けたり走れたのは?
養祖父が助けに入った時よりも前から、出血が止まっていた理由は?

あざや血の跡だけで、身動き一つ取れずに蹂躙され揺る中で、骨も折れて指も千切り落とされていたのに
あざや血の跡を除いた、それ以外の全てが治されていたのは?
拭えば全て綺麗に癒えており、ひりひりする程度で済んでいたのは?

誰かが命を分け与えたのでは無いのか?


そんな発想は無く…
ただ…自らを助けてくれた養祖父にだけ目を向け

頑なに自らのしたことの意味を理解しようともせず、背負いもせず

笑った


その死を
命を

犠牲を


助けてくれた、助けが来るまで繋ぎ止めてくれた

その恩人を


ただ一声出すだけ
名を呼ぶだけで

助けられるのに
聞く耳も持たず、見向きもせず
見捨て、自らの保身のみに走った事実を

勝手に混乱して泣き喚いて、動けるようになるや否や走り出して
助けられた本人でなければ助けられない事実も全て無視して
勝手な考えで走って見殺しにした愚か者


その時点から…わかっていた

本質的な面が
本性が
どんな存在なのかを(主犯格の癌だと)――


善良な皮を被った…悪意の無い、諸悪の根源なのだと



『片割れ』としての力を無くしたナビィ
改め、玄武…シンは……中で息を潜め、回復を待った

そして今――『目醒め(ケイトの化身化)』の時と同じく、『片割れ』として目醒めた


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