第92章 新たな神武(しんぶ)
光となってその命はベルを覆い、結界のようにゴブリンを寄せ付けずにいた
しかし…
その傍らで、ナビィは宙から地面に力無く落ち、地に伏し、今にも消え落ちそうな状態にあった
その方法とは…命の全てを分け与え、掛けた対象を光の防壁で覆って身を守り、傷の一切全てを治す手法だった
ケイト「ナビィと呼んでやってくれ!!頼む!!!」
ベル「え?」
ケイト「ナビィって言わないと死ぬんだよ!!!」
ベル「ええ!!?」
ケイト「お前を助けた恩人が死ぬんだよ!!」
ベル「やだよ、そんなの!!!」
ケイト「ならナビィって言え!!!!
それだけで助かるんだ!!!!」
そう叫んでいる間も、やだやだと言い続けており…動揺を露わにし続けていた
ベル「やだ…やだ
やだあああああああああああああああああ」だっ!!!!!!
瞑目し、脱兎の如く走り出した
あろうことか村の方へ向けて走り出し、逃げて行った
ナビィも連れず、守ろうとすらもせず、自分ひとりだけで…
ナビィが死ぬと同時に、あの効力は切れる
効力が間も無く切れることは、火を見るよりも明らかだった
ケイト「くそっ!!
ナビィ!!ナビィ!!!
(私の声じゃダメだ!!
そうだ!この方法なら!!)
ナビィ!!その円環の中に入れ!!!
頼む!!!!」
ナビィ「ケイト…
ありがとう…大好きだよ^^」
すっ←姿が薄れて行く
ケイト「ナビィ!!!!」
そして…円環に入ると同時に、消えた
絶命した瞬間に、入った
同時であった為
ギリギリ間に合った
それから一時間と二十五分後…
幼いベルが養祖父を引っ張ってきていた
しかし……そこに残るのは…何も無かった
ナビィが絶命した瞬間……
ケイト「うああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
ケイトの慟哭が爆ぜた
聞こえる――
ケイトの声
とくん
とくん
いるよ――
ここにいるよ―――
リンク&ケイト
ナビィは…無事、玄武として転生を果たした
『片割れ』としての力を無くし、主護精霊としても生きられず
黒龍神と同じく、魂の中に宿り、命の回復を待つしか無かった
そして…それ(『片割れ』)は……ケイトの目醒めの時を同じくして、果たされることとなった
そこ(この日)から――ケイトの地獄が始まった