第92章 新たな神武(しんぶ)
朝11時過ぎ――
ゴゴゴゴゴゴゴゴ
低い地鳴りと、蠢くような海底深くからの轟音――
ずあっ!!!!!!!!!!!
『ムー大陸』が表出し、浄化を齎す標(しるべ)となった――
神殿が吹き飛んだ場所を起点に突如『東西7000km、南北5000km』に渡って盛り上がり、船は座礁し、人々に怪我こそ無かったが、『今までに無い衝撃』を齎し、震撼させた
それにあちこちを見て回ろうと我先にと走り出すそれらに対して、ケイトは待ったを掛けた
ケイト『安全が確認されていないし
古代の兵器が誤作動でもしたら危ない!』あわあわ&あせあせ
だの、色々と理由を取って付ける
慌てふためくそれに対して…
必死の制止に対して……
「なんで神国ばかり」
「確かにそっちの領地だけれど」
と不満が出るのも当然のこと
口々にぶうぶうと呟くそれらに対し…
ムー連邦の方々を知るケイトからすれば、何としてでも手を出されるのは制止したい
なんとか言葉を出そうとするケイトを、誰かの手が入り、遮った
それを見て…
ずっと新婚旅行に付き添っていたエルが、口を開いた
エル「私は――ムー大陸の生き残りです!!
海底人として、長き寿命を齎されていました!!
千年もの長き生、私は若輩者に過ぎませんが、どうか聞き届けてはもらえませんか!!?」
ケイト『エル
すっ←掌をケイトの胸の前に出して制し、静かに頭を振る
エル「いいんです…←ケイトを見て、ムー連邦のある方角、海底を見やる
………」瞑目し、過去を想起し…重々しく口を開く
ザザーン♪ザザーン♪
故郷の地、故郷の建物、故郷の空気の匂い…
草木、土の臭い、香り……
大陸の東西南北に走っていた8000m級の大山脈、山岳地帯――
10万年前、当時の情景をそのままに――守られていた
原初の精霊の手によって―――永き封印から――――
汚染される前の清浄な状態へ還(かえ)し、時を止めて――――
いつか必ず――――戻れるようにと―――――
エル「今は…もう……
悪しき人々も、邪なる人々も居ませんから
私達の地で、故郷(こきょう)で故郷(ふるさと)なんです
私達の手で、取り戻させて下さい」
ケイト『………わかった(ふっ)←化身化解除
出来ることなら何でも言って欲しい
力になる」真剣