第91章 轉儛(てんぶ)
二度と後悔したくないのなら…尚更――
喪った後では――どんなに何をやろうとしても、自己満足でしかなくなる、自分を慰めて癒やす為だけのものに過ぎないのだから――
家を奪われ住めなくなり、大事な人も家族も全て奪われて笑われて、何事も無かったようにしか接してこない…そういった環境で無いならマシなんじゃないのか?
家も家族も大事な人も、皆無事で、平穏無事で、笑って、幸せで居てくれるのなら…――これ以上のものは、何も無いだろ←心なしか口角が上がる
それだけでもう恵まれているのに…
これ以上、何を望めと、求めろというんだよ――』
冷たく、発光させながら、静かに言い放った
驚くほどに、何の感情も籠もっていない目で――
本当に――よくここまで来た
笑えるようになるまでどれほどの――
苦労が、心痛が…痛いほどに伝わってきて、涙を禁じ得なかった
あくまで大事なのは…人の中身、根幹、心の在り方なのだという――
ケイト『少しでも負担を減らしたいんだよ
だから何もせずに頼るなんて選択、あってたまるかよ
頼るのは…自分でやれることを、全力で全部やってからだ!!!
頼っていいからと…
全て丸投げしていい訳があるかあ!!!』
初代『だから助けたいのよ』ぽそり
ケイト『んう?』?←きょとんとした目を向ける
全ての実在化の源――その起源であることに変わらず大きく変わった2点
・「癌一同」が消滅したことに伴い、『命と自我と記憶』の対価も、今後は消失
・母体と胎児の無線化、『自由と時間』の対価も、今後は廃止
以上、上記が
ケイト『全部自由だ』
とケイトが言った理由となる
女神としてではない
神としてでもない―
一人の個として
唯一として
生きて欲しいのだと――
そう何度でも言ってくれるケイトに…
ありのままを受け入れてくれるケイトに…
恋をした
フレイヤだけじゃない…僕達も……
フレイヤ・ファミリアにいつでも使える修業空間を提供することを選んだのも、ケイト自身だった
その理由は――
ケイト「守ってくれたから
アマゾネス狩り、いや、そうなる前から、ディアンケヒト・ファミリアにて入院して未だ目を覚ましていない間ずっと」536,568ページ参照
そのお返しであり
Lv.∞になるまで、魔闘を極められるようになるまで面倒を見たという