第91章 轉儛(てんぶ)
それに関して――
斬り捨てた人々を全て洗い出し、死んで当然の罪人である証明書、生きていても死罪は免れない証拠を全て取り揃え、ギルドの受付でギルド長ロイマンに直談判しに行っていた
ケイト「ファミリアとしての意志ではなく、私個人の意志として聞いてもらいたい!!」
最後の英雄の言葉、直々の発信…揺るぎない証拠、過去を正しく映し出すそれらに
ギルドは直々に調査し、賞金首からリュー・リオンの名を外し、剥奪した冒険者の権利も返却措置を取った
詫びは要らない
十分に罰は受けた
自戒という名の罰を
同じ過ちを二度と犯さないという贖罪を――
自らの罪を負い、自らの非を認め、茨の棘の上に立って、それでも共に生きた
その証として受け取って欲しい
双方共に
その言葉と共に去り、遠き過去に決着を付けさせた
リューが本格的に惚れたのは…
ここからだった←1492~1497ページ参照
遠き過去の確執(痛み)に決着を付けさせ、前(今や未来)へ向かう、踏み出すきっかけをくれた英雄として――
ケイト『生きててごめんね――
(自分が生きているせいで
自分が死んでないせいで
離婚できなかった
守れなかった
助けられなかった
救えなかった
大事にしたいのに
何も出来ていない
何も返せていない――っっ
痛い
苦しい
辛い
哀しい
張り裂けそうだ
痛い――
いたい―――っ!!』
痛いと居たい(死ぬなら居なくなるなら一緒に死にたい居なくなりたい)という想いが張り裂けそうな程に――痛切に伝わってくる
母を胸に抱き、泣き叫ぶ
痛切な表情で、双眸から滂沱の涙を零し、断末魔を上げる
母の顔を胸に押し付け、瞑目した双眸から涙が止め処なく溢れては止まらず
母の顔へ、面持ちへ、全てが流れては落ちてゆくように、絶え間なく、途切れず、流れ落ちてゆく
ただただ苦しくて、愛しくて、悲しくて、痛くて――その痛みすらも愛しいほどに大好きで―――
そんな君だから――――跡継ぎに指名されるのもまた、必然のことだったのかもしれない
――必ずやり返さない君だから――人の思いを常に念頭に置いて、自分を殺すことを平気でする人だから――自分が痛いよりも、人が痛い方が苦しいと感じる君だから―――
人の痛みを、人よりも痛切に感じ、痛み、思い遣れる、重んじられる人だから――――