第91章 轉儛(てんぶ)
「まやかしの恋に陥らせて利用し消滅するまで使い潰し酷使し続けるだけの詐欺師、主犯格の癌」から解放されたのは…イシュタル・ファミリア襲撃以降
一度たりとも、目を向けることも助けようとすることも一切しなくなった
シルが親し気に接することはあれども、それは全てヘルンに一任していた…ケイトへ何もしないかの監視も兼ねた保険…
独自に調べて、ウレイオスを殺した仇、消えることとなった元凶であることを知ったから―――
それが故に守られたとも言える
『魂が始祖神の生まれ変わり』だということ←618,619ページ参照
遠き昔の日々――138億年分もの記憶の中で息衝く想い←1077ページ参照
時々代わってもいた
豊饒の女主人で手伝っていた時に肩の上に頭を乗せさせてもらったこと←1492ページ参照
あの闇から解放された←1159~1164ページ参照
それは――仕事の件
主犯格の癌が齎す闇からの解放を意味する言葉だった―――
アイズ自身も、お父さんと同じ空気を纏ってて←1516ページ参照
とは言っていたが、本人そのものだった
仕事の延長線でのことで、この世に転生してきていた―――
主犯格の癌と、『原初の始祖神』…それぞれが相対し、この世を、全てを、存続させる未来の為に―――
己の持ち得る全てを――犠牲にして―――対価にしてまで――――消えて欲しくない、死んで欲しくないと
・呪い
ドロドロした黒カビ(墨汁、罪、闇そのもの)
・守り
洗剤と実在化担当
・剪定
洗剤(黒カビを浄化する起点)、兼、再生(消滅した『命と自我と記憶』の補填)
・実在化
水(洗剤と汚れを洗い流す用)
以上が簡単な概要となる
全ての実在化の源――その起源であることにさして変わりはないらしい
大きく変わった点と言えば2点
・「癌一同」が消滅したことに伴い、『命と自我と記憶』の対価も、今後は消失
・母体と胎児の無線化、『自由と時間』の対価も、今後は廃止
リューは、闇派閥と少しでも関連があった者は、商人だろうとギルドの人間であろうと、問答無用で斬り捨てていった
皮肉にも彼女のこの復讐で闇派閥は壊滅し、オラリオの暗黒期は終焉を迎えた
だが、あまりにも行き過ぎた報復行為に、賞金首としてギルドのブラックリストに載り、冒険者の権利も剥奪されてしまった