第91章 轉儛(てんぶ)
世界は一枚の紙
しかし、その中に水槽のようなもので、
枠組みで分けられている
より一層頑丈に創られているのは地獄とこの世である
『この世』は「癌」が生まれてくる場所であり、更生の機会を与える場でもある
と、同時に…「癌」と接点を持たせることで、「隠れ癌」をいぶり出す為の場でもある
地獄は闇に分類される魂が放り込まれて閉じ込められる牢獄であり、悪人達の巣でもある
そこにも閻魔様はおり、取締方(とりしまりがた、取締役のトップ)で、『鬼神様』という呼ばれ方をしている
初代『牽引する立場になるんだからね』
ケイト『ああ――わかってる
(心配してくれて)ありがとう
無茶しない範囲で頑張るよ』微笑
初代『程々にね?』
ケイト『うん』微笑したまま大きく頷く
今、僕等は原初の神々界への里帰り中だ…
各々の先代、つまり次世代となる存在として邂逅を果たし
各々、化身化を使えるようになったことの報告と共にラスト・ブレッシングを放てるようにしている所だ
経緯に関しては…化身化を終えたので原初の神々界に行こう
ラスト・ブレッシングを使うには、各々に『先代と次世代の分体(己の人格を乗せた分身)』が必要となる
それらに伴い――結果として今ここ(原初の神々界)に居るという訳だ
そしたら…
清浄神に物申す!とばかりに捲し立てた結果…
ああいった事態に陥ったというのが事の顛末だ;←苦笑交じりに見つめ冷や汗が流れる
僕としても助けたいのは山々なんだが…楽しそうなので良しとすることにした
リヴェリアもそこは同じらしく…
自業自得だ、とのことだ
冷や汗を流したまま額に手を当てて嘆息を零していた
まあなんにせよ…皆が皆楽しそうで何よりだ^^;、とだけ述べておく――
各々の願いも打ち明けられたが…
大体はケイトが起点、根幹となっており
守りたい、と返して(恩返しをしたい)の願いだった――
恩返しをしたい、その想いは皆一緒という訳だ…
僕達を守る為に犠牲にした『命と自我と記憶』はどう在っても戻らない
何をしても、無かったことにはならない…
たとえどんなに形を変えて戻る様にした所で…決して……
だからこそ貴いのだ――ありとあらゆる全て、遍く全てが―――守る為に母体となり、癌化(消滅)させない為に犠牲になり、今もなお在るのだから――――