第16章 悲鳴
こうして例の悲劇、封印のそれが龍神の怒りの波動を受けて解除されるに至り、革命賛成派は街長と彼の友達の2人を残して死亡。
反対派は育ての家族しかいなかったことで、中立派は賛成派につられて動いてしまうことが多々あった。
いずれ話し合って和解したとしても、このような環境であれば味方などできるはずもなかったのだった。
街には一部を除いてケイトそのものを理解しようともせず、ひどい人間だと主張する『一方的かつひどい行いができる人』しかいないのだから。
結果として、街長によって殺人罪に問われなかった革命賛成派は正式に殺人犯として取り締まられ、←158ページ参照
血を正式に引き継いでいる女性、「直系であるケイトの母」の妹が街長となったのだ。
ヘレイオス街では、街の長は自らの血を強く引き継ぐ者が継ぐことが習わし。
本来ならばケイトが受け継がねばならない立場であったが、それも首飾りと共に消えたのなら止む無し。
新たな制度によって、きちんとそういう類の蛮行を起こそうとする人達は取り締まられることになった。
『考えることを忘れるな』というもので、行き過ぎたそれは災いしか呼ばないことを公言したそうだ。←167ページ参照
『勝手に都合の悪い解釈をして決め付けてかかるな。
傷付きたくないのなら、人を容易く傷付けるな。←165ページ参照
傷付きたくないのなら、傷付けられたくないのなら、人を容易く傷付けるな。そのような言葉を吐きかけるな。
先にやってこられたという大義名分を掲げて人を傷付け続け、人格を傷付け続けてきた蛮行は決して善行になり得ない。
他にそういった認識を抱くよう言い聞かせ、強要し、考えを放棄させて同じとする。
それこそが『一方的な理不尽』を振りまく『洗脳行為』だと知れ。←113ページ参照
この人として腐った愚行を続けたことによる過ちを二度と繰り返すな。
善行として他を傷付け、そうして平気でいられるクズになるな』
と、街長から直々にそういった法律が定められた。
それらの取り組みによって、再び平安が取り戻され
あのような目に遭い続けてもなお街を護り抜いたケイトの行動は、今度こそ『正式に』評価され
『現代の英雄』として名を残し、街の中央に像が建てられたそうだ。←76ページ参照
以上がヘレイオス街での悲劇と、その終幕後のあらましである。