第16章 悲鳴
例の精霊寵愛とクリエイトが発現していることから子孫だとわかり切っている。
だが、革命賛成派のそれらは子孫の証でもあるそれを奪い取ろうとしていたのだった。
血を飲めば、肉を食えば、骨を食えば、遺伝情報を取り込めばとヒューマンは目論み、半年に渡って6歳になる日まで実行に移し続ける。←32ページ参照
それらは悉く、全て失敗に終わる。
そうして手に入れられないとわかれば『化け物』と罵り、そうするのが当然だと街の人達に強要、街長から直々に常識として染み渡らせていく。
結果としてその状況から生みの父親の立場も悪くなり、元々ストレス発散で暴言や暴力をぶつけられていたのが激化、6歳の誕生日にやっとの思いで帰らされた彼女に向けて
気味が悪いと両親にまで言われ、母からは距離を置かれ、立場がさらに悪くなったと危惧した父親は剣を左脇腹に刺したまま放置。近付こうとするのは姉だけだった。←32ページ参照
姉はそれを抜こうとしてくれたのだが当時の姉は8歳、その力では不可能。
その当時にたまたまあった傷口から姉にケイトの血が入ったことで、血に宿る治す効果が強過ぎたが故に死亡した。
姉の葬式にも出れず、部屋に閉じ込められたまま放置され、余計に強く当たられ続けたことから、徐々に崩壊していった。
その上、街の人達からもまた同様に当たられ続けたことから、一人きりになって不干渉という手段を取るようになる。
ケイト自身はただ図体がヒューマン並にでかいだけの小人族なのだが、それを知らないまま街の人達のヒューマンに囲われて拒絶されながら10歳の誕生日まで育ち
街の人達の賛成派に動きが見え、今後同じような存在が生まれないようケイトの両親と祖父母を殺すこと、そのことを以ってケイトの心を完全に破壊することを目論んだ。
その決行日が今日となったことを受けた父親はケイトを怒りのままに殺そうとし、母親は庇いながら誕生日プレゼントとして首飾りを託し、ケイト自身はそれを夢だと思った。
が、首飾りがそれを許さなかった。
街の人達は、父親と母親もまたその因子を受け継いでいるはずだと信じて疑わなかった。
自分に対してやっていたことと同じことをすれば無論死ぬだろう。事故死と片付けられていた。
といった情報を後に、生みの両親が死んだ後に教わった。
街の人達から、「お前のせいで死んだのだ」とも言われた。