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Unlimited【ダンまち】

第16章 悲鳴





あの当時はケイトの言うそれに、勇者アルルェーチェと呼ばれた件で思わず取り乱して言ってしまった言葉がある。

『まさか街の人達が神の血を引き継ぐ末裔とは…血だけで人柄が決まるわけじゃないんだね』←523ページ参照


その語弊は、この日の晩に正された。



ゼウスの孫である英雄、ヘレイオスの血を引き継ぐ血統は全て小人族。
それも以前ケイトに話されたようにヒューマンとの間に子はできず、ハーフ・パルゥムは歴代の中で一人として現れなかった。←456ページ参照

ヘレイオス街の今の人口は100人、その中でも小人族は4人。
あの事件前には1000人弱おり、その大部分の種族がヒューマンだった。
その中で小人族の割合は僅か一厘弱、正確に言えば0.8%で0.008倍に当たる『8人』しかいない。

代々彼の血族である小人族が英雄の子孫として『街の長』となり取り締まってきたが
その長であるケイトの祖父がヒューマンに代替わりしたのがちょうど15年前、ケイトが生まれた時だった。


というのも、その1年前、『ヘレイオスの血を引き継ぐ中にはヒューマンもいる!』と声高に示す者がヒューマンの中に現れた。
その主張が「ならば自分も継いでいるのでは?」と次々に連なっていき、街中でのヒューマンの立場をよくする為に立ち上がったのだそうだ。

証拠として血族が示す系図を見せてもなお、『自分は英雄の子かもしれない』という欲望に打ちのめされ、永らく街長になれずにい続けたが故、盲目となった彼等彼女等は頑なに聞き入れず、ヒューマン全てを率いて自分達も長となる権利があるとデモを引き起こし、真実を都合のいいように捻じ曲げて『グレイロア』という名字を次々に名乗り出した。

これが通れば自分達も街長になれると希望を見出した彼等彼女等は止まらず、当時に高齢でもあった彼はたずなを握り切れず、結果として多勢に無勢に終わって譲ることとなる。


そうして街の人達の暴走という名の革命は始まりを告げ、例の事件まで続くこととなった。

ヒューマン達は増長し、止められる者もいないことから余計にやりたい放題の無法土地となった。
今まで小人族に治められており、ヒューマンのこともヒューマンで治められず、肩身が狭かった状況が長年続いたことから、溜まりに溜まった鬱憤が爆発したのである。


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