第16章 悲鳴
アミッド「はっ!)…いえ。こちらこそ取り乱してしまい、すみません。
心配する気持ちもわかります。ですが控えて下さい。
きっと…きっと、生かして帰しますので」
アイズ「…うん。ありがとう」
アミッド「気を強く持って下さい。何より…彼女を信じてあげて下さい」
アイズ「わかった…皆にも、知らせておくね?」
アミッド「お願いします」深々お辞儀
そうして面会依頼に来ていたロキ・ファミリアの面々は、ホームへと帰っていった。
そんな中、アイズは彼を見つけた。
アイズ「?…(ベートさん?」
その背は、どこか寂しく見え、気付けば追っていた。
ロキ・ファミリアは、彼の生い立ちを知らない。
弱者であった為に味わった彼の一族の悲劇や、強さが伴わない高望みばかりしていた自身の経験から、弱者が高望みしないように偽悪者を演じているというのが彼の持論であり
その事情を知る【ロキ・ファミリア】のロキを含めた三人、首脳陣は一定の理解もしている。
その一方で彼の生い立ちを知らない人々が大多数の為、その人達からすれば基本的に「傲慢な上級者が弱者をいたぶっている」ようにしか映っていないことには変わりがなく、ティオナ達からも相手には何も伝わっていないことを頻繁に注意されている。
その結果、ティオナとティオネと顔を合わせる度に喧嘩に発展している。
現時点ではそれさえも無くなったわけだが…
ただし、言動が直球で粗野である反面、ちゃんと言質を聞けば思い入れはある言動であることも多い。
その言葉を受けたケイトが「ありがとう」と返したことも受け
その言葉の意味もまた考えたが、フィンがキレて立ち上がりかけるほどの暴言であることには変わりもなく…
彼女の優しさの上に胡坐をかいているようにも見えたその態度に、周囲からは反感が募る一方であり
今朝の出来事が引き金となって、彼への不満が大爆発を起こしたというわけだ。