第91章 轉儛(てんぶ)
思い出されるのは目まぐるしく大変であった日々ばかりだった―――
アイズが泣く、喚く、暴れる
その度に宥める、躾ける、拳骨を食らわす、周囲へ頭を下げて回る
賠償も含め諸々、色々
言わぬが花、とばかりに沈黙を決め込む中…
代わりに嘆息ばかりが口を突いて出てきた――
その想いを受けて、今度はティオナとティオネが目を丸くしていた――
ティオナ「え?何があったの?」きょろきょろ←フィン達3人をそれぞれ見やる
ティオネ「馬鹿ね
あったから今ああなってるんでしょ(肘で小突く)
疲れてるんだからそっとしときなさい
愚痴でも聞きましょうか?」キラキラ
フィン「いや…遠慮しておくよ…
とても一日では語り尽くせないし、語り尽くす自信が無い」遠い目
ガレス「ただでさえアルバートの一件で一晩を明かしたしのお」
リヴェリア「ああ…――
そうだな」遠い目
ティオナが身を乗り出して聞き入り
アイズは寂しそうに服の袖口を引っ張って気を引こうとし
最終的には押し倒される勢いでティオナから詰め寄られ
それにアイズが必死に割って入ってケイトの頭を抱き締めて…
最後はてんやわんやになりながらも何とか落ち着きを取り戻し…それからようやっと眠りについた
それまでに要した時間――なんと10時間半―――
周りの時間を停止させたり、時間の流れを異なるようにする結界を張ったり等で、何とかして寝る時間を確保していた―――というのが事の顛末だ
メイやレイとラーニェといった、興味の持たない人達は先に寝出し
僕等は家族云々以前にファミリアという付き合い上聞かざるを得なくなり
それ以外が順次に寝出すという始末になっていき…
気付いたら一番遅くに眠りについたのが僕等だった、という落ちに行き着いた――
そうこうしている内に、と言った方が正しいのかもしれないが…‥大変だったことに変わりはない
目まぐるしい展開に目が点になることもしばしば多くあった、とだけ語っておく
それだけアルバートとしての生は目まぐるしく大変だった――
僕もアリアとしての記憶を共有したが…
なるほど、波乱万丈ここに極まれりと言った所かと英雄譚にされるのも即納得が行った程だった
そうこうしている内に朝が明けて…となったので、ああいう手法に至ったという訳だ
そして今に至る――