第90章 未来への展望
ケイトのことだから、必ずアリアを助けようとするだろう
そしてそれは――同時に、自らを助ける手法を見出すことにもなる
本人はそんなこと考えもせず、邁進するだろう…
たとえ望まれずともケイトは誰も犠牲にせず、壊さずに守り抜こうとする――皆にとっていいように―――皆が笑って過ごせるように、ただそれだけを念頭に置いて考えて――――
そして――皆は、ケイトが自らの為に動いてくれたから、ケイトの為に動く―――ケイトはそれに対し、貰ったからお返しをしようとして、皆の為により一層動く――皆も負けじと一層動く―――永遠にキリが無いが、善良な∞ループが出来上がるという訳だ―――誰かが強いることも一切無く
そういった関係性こそが最良であり、
お互い幸せを築き合える理想の関係図であるとも言える……
そうして――自我と記憶が損なわれ、消え掛けていた自我も元通り…とまではいかなくとも、きちんとある一定のレベル=程度は保てると判明した
対価として渡したものは、どんな方法を使っても戻ることは無い
だが…
諦めない限り…取り戻すことは出来る――形は違ったとしても―――
それでも…大事だから――
そう、未来への展望を立てた――
足掻き続けることを決めた
魂の心を除く全て――その命と自我と記憶を対価としている
すなわち、無事なのは魂の心のみで、それ以外の全ては対価として消えていっている――二度と手にすることは出来ない、戻すことも―――
だからこそ――価値がある、生まれる
消えたものは戻らなくとも、再生で生み出すことで補うことが出来る
それを自覚的に出来るようにし、それに伴い最小限のみに留めることを意識させる
その為の出来事であること――この世での学びであること
それらも踏まえて、人生(この世における生)なのだと――
伝える上において――そうされる当事者に回らせることこそが、一番の学びになるのだと―――それまでに消えないこと、死なないこと、幸せであることを願って―――
ただ――静かに―――待ち続けた――――いつまでも――――――永久(とわ)に
『祈り』と『再生』――それらの自覚化を持って、事に挑むこととなる―――僕等の未来の為に―――
今回の件は『未来への展望』として、多くの心に大きく、深く、刻まれることとなった