第16章 悲鳴
ベート「なんだ、ババァ。てめえも俺に何か用か?」
リヴェリア「言葉を選べ、ベート。
お前の想いが偽らざるものであったとしても、苦楽を共にした仲間を痛まない理由にはならん」
ベート「はっ、痛んで何かが変わんならいくらでも泣き喚いてやるぜ。
だが、そうじゃねえだろう?痛んだ所で傷も治りはしねえ。
弱えからあいつは今もくたばり掛けてる。あの呪詛にも負ける程度だった。
違うか?違わねえだろう。俺は何も撤回しねえ」
最後に集まる人達を見渡しながら吐き捨てた。
ベート「てめえらも、いつまでも俺達の足を引っ張んじゃねえよ」
ティオネ「糞野郎ッ!!」
ばきゃ!!!
怒りと共に椅子を蹴り壊す中、すぐそのティオネの後頭部に槍の柄が直撃した。
四人『はあ』
それと同時に、ロキとフィンとガレスとリヴェリアが同時に嘆息を重ねた。
フィン「これは荒れてしまうな。派閥の中で分裂が起きるかもしれない」
ガレス「今更じゃが…本当に、あやつにも困ったものじゃ」
リヴェリア「遅かれ早かれ、こうなることはわかっていたが、な…」
頭を押さえて蹲るティオネを脇に、フィンとガレスのもとにリヴェリアが合流する。
ロキ「ほいっ(ぱんっ!)
この話やめやめ!
もう、うちお腹空いたわー。
レフィーヤ!うちの皿大盛りでお願いなー?」
レフィーヤ「え?あ?はい!」
ロキ「飯や飯ー」ぱんぱん!!
手拍子と共に騒ぐロキに団員達は従った。
ベートが立ち去っていった扉を見据えるアイズを除いて…
ティオネ「団長は…団長は、何とも思わないんですか!!?」
フィン「……ケイトは死なない」
『!』
フィン「敢えて言おう。
彼女は、こんなことでくたばるような人間じゃない。
僕が心から打ちのめされた女性は…惚れた女は、そんな玉じゃない」ふっ
不敵に笑って返すフィンに、ティオネは…何も言えなかった。
ベートのそれを気にする素振りも見せない態度に、どう返していいか見つからなかった。