第16章 悲鳴
話題に上がっていた人が大食堂に現れたのは、その時だった。
ベート「朝っぱらからうるせぇぞ」
アイズ「ベート、さん」唖然
ベート「ぎゃーぎゃーやかましいんだよ。
言いてえことがあんなら面と向かって言え。
群れなきゃ何も出来ねえのかよ、てめえらは」
椅子に向かおうとする中、呟かれた言葉にラウルが身を前に乗り出そうとする。
が、その椅子とベートとの間に二人が割り込んだ。
ラウル「!ティオナさん、ティオネさん…」
ベート「何か用か?アマゾネス共」
ティオナ「ベートはさ…何とも思ってないの?
死んじゃったらさ…もう、会えないんだよ?
ケイトはさ…『誰も死なせたくない』って…
ベートもひっくるめて『大好きだ』って、言ってたんだよ?
それなのに……本当に、何も思わないの?」
室内から一瞬、音が消える。
言葉にして一触即発、ピリピリとした空気があたりを包み込んでいた。
ベート「…はっ」
数秒の静寂の後に返ってきたのは嘲笑。
ベート「残念だったな。俺は弱ぇ女が一番嫌いなんだよ」
ぶちっ
ばっ!!
何かが切れる音と共に二人の姿がぶれた。
次の瞬間、ティオナの左拳と、ティオネの右上段蹴りが無表情でベートへと繰り出された。
ががっ!!
ガレス「そこまでじゃ」
フィン「流石にここからは洒落にならないな」
それを止めたのは食堂へ駆け付けたガレスとフィンで
ガレスはティオナの腕を掴み、フィンはティオネの蹴りを槍の柄で遮っていた。
ティオネ「団長っ、止めないで下さい!!この糞野郎を!」
フィン「派閥の幹部として節度を保て。いつも言ってるはずだぞ、ティオネ。
(まあ…ケイトのあれは人間味があり過ぎて敢えて傍観してるけどね。
彼女の場合は適度に吐き出せなきゃ確実に潰れるだろうし」
ロキ「はあ~。朝っぱらから騒ぎを起こして…ホンマに血気盛んやな~、自分ら」
アイズ「ロ、ロキ…」
ロキ「ベート」
ベート「あ?」
ロキ「やり過ぎや。こっから出てって頭冷やしぃ」
ベート「……ちっ」
有無も言わさない主神、ロキからの命令にベートは立ち去ろうとした。
が、その扉の前に立ちはだかっている人が現われた。