第16章 悲鳴
ラウル「あの人は…ケイトさんは!
あんな目に遭い続けてもなお、俺達を信頼してくれたんっすよ?
普通なら人なんてって拒絶して閉じ籠ったっておかしくないのにっ!;
同じ思いさせたくないって、それでも優しさを振るい続ける馬鹿なんすよ!?;
ケイト『やっと…やっとできた、大切な居場所なんだ……
誰も…失わせたくないんだ』ぽとっ
震えながら、涙を零しながら、懸命にアミッドさんに縋って!!土下座までして!;(涙目)
ケイト『ごめん…迷惑なのはわかってる。この行動が迷惑になることも…承知の上だ。
また…全部失うのだけは……嫌なんだ。
私は…ロキ・ファミリアの誰も死なせたくないんだよ。
皆が…大好きだから……もっと、たくさん…皆と、笑っていたいから』
あんな風に信頼して、それ所か知り合ってそんなに日がないのにっ;
俺達のことを、大好きだって;;
傷付けてこない人自体、滅多にいないからって!;;;
なのに…何であんな言い方されなきゃいけないんすかっ…(肩震)
あの子は…ケイトさんは……(ぐぐっ、拳握)
あんな風に罵倒されなきゃいけないようなこと、いつ俺達にやったんすか……
人の悪意にばっかり晒されていながら…人にしない、あんないい人をっ…;;
あの想いも…それまでの行動も……全部!報われないっすよ!!;」
歯を食いしばりながら、声を震わせながら、叫びと共に涙が次々に零れ落ちていった。
ラウル「死にそうになって…今にも意識失うような時に……
俺達を生かす為に…全力、尽くした……そんな、…そんな仲間に、何でそんな口……
それで死んだら……今も、必死に…戦ってんのにっ……
あれ…何で……っ(ぎり)
ここで…泣くのっておかしいんすかね…そう思うのって…おかしなことなのかっ;;
もう…わかんないっす」ぷるぷる
わなわなと震えながら、声を詰まらせながら
ラウルは右手で両目を覆い、机に項垂れながら涙を流していた。
嗚咽が起こる中、震えが止まらず涙が次々に溢れて止めどなく落ちていった。
それを見た反応は人それぞれ。
肩にそっと手を添える者、怒りを零す者、共に涙ぐむ者、わかると頷き同意を示す者。
一様に言えたのは…ベートを擁護する者はいなかったということだった。