第15章 人造迷宮
アミッドが言うには、ケイトの魔力に反発することで逆に呪詛の効果が増幅されるらしい。
消えそうになった矢先、まるで最後のあがきのように見たことのないほど活発化される。
ただでさえ厄介なのにその正反対な性質が故に効果が上がり、その上に血が足りない。
魔力を打ち消すような効果まで発揮している為回復も普通の人よりも遅くなる有様で、死と生の境目を頻繁に行ったり来たりし続けているような状況だそうだ。
フィン「どうすればいい?どうすれば」ぶつぶつ←動揺と共に狼狽している
アミッド「奥の手を使います」きっぱり
フィン「!」
アミッド「彼女が預けたものです!取ってきます」さっ
ベッドに寝かされたケイトを前に呟く中、アミッドはそう言って再びカウンターまで戻った後
例の箱を手に戻ってきた。
アミッド「お願いです。
奇跡を宿した箱よ、彼女を…呪詛にまみれた彼女を生かして!」
そう念じると共に叫びながら開けると、出てきたものは三つ。
口と鼻を覆うマスクで肺を動かして呼吸させるものと、
胸に電気を流し込んで心臓を無理矢理動かすもの。
そして…解呪と造血の効果と栄養成分を宿した液体が詰め込まれた袋と管と針、点滴の外見をしたものだった。
アミッド「!…
(見たことのないものばかり。でも今はそれに頼るしか!)
アスフィさんを呼んで下さい!早く!!」
フィン「わかった!」だっ!
その間に見たことのない器具を彼女に近付けた矢先
自然と頭に巻き付いて無理やり呼吸をさせ、心の臓を動かさせた。
点滴もまた同様で、近付けただけでそれは血管中に入っていった。
アスフィも駆け付けた後、同じく鑑定を使った所、同じ結果が出たそうだ。
それから傷口が塞がらないものの、生命維持された状況が続いた。
強力な不治効果を示す『呪道具(カースウェポン)』の脅威。
それを受けた【ロキ・ファミリア】は、ケイトによって空間収納魔法の中で「唯一」保持されていた『呪道具』を意識を失う前に手渡され回収。
【ディアンケヒト・ファミリア】直属の治療院に分析と解呪薬を依頼した。
全ては第二、第三の『呪道具』による被害を抑える為に。無駄にさせない為に。