第15章 人造迷宮
馬車が地上に到達した時、夕暮れの光が曇り空によって薄まり暗さが増していっており
それは、時刻にして16時50分…彼女は意識を失った。
フィン「ケイト!!ケイト!!!!」
アイズ「瞠目)!息…してない?」
その言葉にフィンはケイトの口元に手を当て、続いて胸に耳を当てた。
とくん
息が完全に止まっており、心の臓の音はあまりにも小さく…弱々しかった。
その変化が起きたのはちょうど、地上に辿り着いた時。
その時を境にケイトの目は固く閉ざされ、微動だにしない体と化した。
リヴェリア「地上に出たぞ!ダイダロス通りだ!
ちらっ(フィンがリヴェリアを見る)
こく(リヴェリアが頷く)
リヴェリア「爆太郎、治療院へ急げ!!
道は私が教える!
まずはそのまま進め!次の角を右だ!!」
そう叫んで指示する声を出し、爆太郎が嘶き全速力で足を動かし治療院へ直行した。
その中でも、ケイトの心の臓までもが…止まりかけていた。
フィン「やばい!(さあっ!)
ガレス!」
ガレス「わかっとる!ラウル、退け!」
どんっ!!
全身の血の気が引いた。
死に直面していることが否が応にも感じさせられた。
ガレスが彼女の左側に跪き、必死に今にも止まりそうな心の臓を無理やり人力で上から押して動かさせ
フィンが右側に跪き、口移しで肺へ酸素を送り込み続けた。
気持ちばかりが急く中、馬車の速度は今までにないほど速く加速し
それでいながらその様子を見守る人にとって、その数分は今までになく長く感じていた。
リヴェリア「フィン!」
フィン「わかってる!」ばっ!
ガレス「頼んだぞ!!」
治療院の前にもうすぐで着く頃、リヴェリアから叫びかけられる。
その直後、弾かれたようにケイトを横に抱き抱えて走り出した。
馬車の出入り口に着いた頃、治療院の前で止まる。
と同時に、治療院の中へとフィンは駆け出していった。
フィン「急患だ!!」
治療院に運び込まれて、アミッドに解呪を掛けられたものの効果はそれほど出ず
全身に癌のように細胞の奥深くまで入り込んだ呪詛は…完全には朽ちることはなかった。
それから三日三晩…何度も何度も心肺停止状態に陥ったらしい。
それを救っていたのは例の箱、ケイトの作った宝具だった。←326,327ページ参照