第15章 人造迷宮
ぶちっ
そこにいた者達の中で、何かが切れるような音がした。
フィン「っ!」がたっ
がしっ
リヴェリア「…」首を横に振る
リヴェリアが肩を掴み、立ち上がろうとするフィンを止める。
その矢先に彼にかけられた声に…
周囲の誰もが非難を飛ばそうとした矢先、ブレーキがかかった。
ケイト「……あり、がとう…」
『!…え?』
ケイト「…頑、張る…この失敗は……無駄に、させない……
待、ってて……
負けない…絶、対……帰って……くる、から」
そんな中、彼をしっかりと見つめながら…今にも消え入りそうな掠れ声が彼女の口から呟かれた。
モンスターの咆哮が轟いてくる。
血に濡れ、呼吸が今にも消え入りそうな「冷たくなった彼女」に向けての言葉に対し、ラウル達は身体を震わせながら強者の嘲笑を睨視した。
フィンやリヴェリアやガレスを除いて…
彼の頬を叩こうとしたアイズだけが、彼の目を見つめ返していたケイトだけが、嘲笑を消して見下ろしていたことを知っていた。
ケイト「生きて……帰っ(ごぷっ)
ごほっ……(ぼー)
フィ…ン……ど、こ……もう……見え、ない…や」
フィン「ああ、ここにいる」ぎゅう
震えながらも必死に腕を上げる彼女の左手に対し
フィンは彼女の右側に跪き、呼びかけながらその左手を両手で取って握り締めた。
ケイト「……あった、かいなあ……き、ず…治せて、よかっ…^^」
そう力なく両目を閉じて笑ったのが最後…
地上に辿り着いた場所は精霊の言ったようにダイダロス通りで
その時を境に手は力を無くし、フィンの両の手の中をすり抜けて落ち、微動だに動かなくなった。
それからは暗闇の中に居た。
そのまま意識が沈んで、そこに私は…飲み込まれていった。