第87章 神化(しんか)
全てわかっていたから…
わかっていて…その上で……
それ(実在化の為の犠牲、砕身)に殉じると決めていたから――
だが……
そんな決意等、中身等、言われるその時になるまで、知る由も無かった――――
継いだその時点で…全て理解していたことも
今から練習させられている
分体に意識を乗せて共有する行為を
それに慣れて、安らげるように
おんぷ『もっと自分を大事にして!!』
自分を大事にして何があるんだよ
………
『え?』
自分を大事にしてしまえば…どうなる?
胎盤に吸い取られて削られ続ける中で、そこから逃げてもいいのか?
ダメだよなあ?はははっ
そんなことしたら…全部、消えちまうんだもの(くしゃ)←前髪を左手で掻き上げる
……
どんなことしたって…逃げられる訳ねえのにさ
どう大事にしろって言うんだよ……
一番したいこと(皆と一緒に遊びたい、自由に駆け回りたい)なんて……何も叶わないのにさ………
ほんの些細な、願い事(一番大好きな人に触れたい、抱き締め合いたい)さえも(ぽとっ)←涙が頬を伝って落ちていく
人間という存在に対して…創世神は見限っている
原初の神々の総意として…
将来のことを考えて見込み無しと判断し、それ以上の関係を持つことをやめる意
癌と隠れ癌の発生、蔓延、助長を手助けするから
それは…仇返しだから
いずれまた滅びは訪れることになるから
『この世の消滅』という形で――
『この世を消す』という総意を覆すのは不可能
審議で可決と決まった
原初の神々全員…すなわち、創世神の賛同を得て
主犯格の癌や隠れ癌にチャンスをやる為だけに創られたものだから
もしそれを野放しにしておいたら、新たな癌や隠れ癌が生まれる元となるから
『この世というシステムだけを全て消して、中身だけは置いておこうか』と審議中の所だ
何でも…創世神の親をその手で殺した「癌と隠れ癌」が全て消えた後は、二度と癌や隠れ癌の脅威に曝されないように、癌と隠れ癌が生きられない、存在出来ないように体制を変えようという話が持ち上がっているようだ
次のステップに行こう
という意図から決まったことだった
創世神の親殺しという染色で、「癌と隠れ癌」の洗い出しは全て終わったのだから……