第15章 人造迷宮
魔石の魔力をもとに魔法を行使できる…大発見だ!!
自分にとってだけど、おまけにさっきの芋虫倒した魔石結界展開時にわかってたけど。←511ページ参照
魔力を使い果たして魔石が砕けたのか、身体は宙に舞った。
落下すると感じなければ『落下不可』は働かない、結界もレヴィスの攻撃で解けたままだ。
そして浮遊を意識して使う気力もなく、頭から落ちていった。
全身の魔力は尽きたまま。魔力が回復していくのを感じる。
でもそれと同時に…呪詛に蝕まれて喰われて、効力を失いつつある。
それも当然だ。
私の魔力の性質は『浄化』…呪詛とは全く正反対の位置にある。
さっきのドラゴン・ソウル状態で撃ったあれが、自分の中のそれを祓い切れるかの賭けだった。
でも…あれでも、体内の奥深くの細胞一つ分だけ残ってしまった。
やられそうになったことからか、余計に最後のあがきのように活発化して瞬く間に凄まじい勢いで急速に拡がっていくのを感じる。
それも、癌のように…
冷たいそれが体内に蔓延り、我先にと増えていっている。
相反するそれもまだ、最初だけならばいい。
だが掛けられ続けていれば…当然蝕まれない為に魔力を使うこちら側は圧倒的不利。
回復もできず、消耗だけが目立つ有様だ。
もっと早くに、それを敢行していれば呪詛に蝕まれた細胞数も減っていたはずなのに…
ケイト「ああ…失敗したな」ぼそ
そうだ、魔力をもとに呪詛が余計に猛威を振るい兼ねない。
魔力の回復を止めないと…せめて、一週間、ぐらい…は……
その考えを最後に、私は空中で意識を手放した。
気付けば馬車の中で寝かされていた。
目を開くとすぐ映ったのが心配そうに覗き込む皆の顔だったのは、今からすればもう少し先のこと。