第87章 神化(しんか)
リヨンが明日オラリオに行くと聞いたのは、曾祖母の葬式の時だった
お通夜の時に会い、涙を流し、共に寝た
6歳の時からの付き合いで、2年もの歳月を共にした
ヒューマンというだけで嫌悪するはずだった
それを…変えてくれた、自慢のお兄ちゃんだった
だから…いつしか、時を共にする内に……渡り合えるようにと、自然とヒューマン並に大きくなっていった
追い付きたい一心で……
当時…
ケイトとリヨンは、魔闘でLv.2とLv.3の中間ぐらいの強さだった
その為、デメテルに恩恵を刻んでもらった折、最初からLv.2だった
別れる前日、次の日に旅に出ると伝えられ、その日の朝
ケイトが涙ながらに自ら手ずから徹夜で編んで作った、完成させた手作りのお守りを手に馬車の前へ走っていき、ギリギリで渡せた
ケイト『絶対死なないでねと、息(想い)を吹き込んだ
絶対肌見放さないでね!!!』
そうも伝えた
リヨン『ああ、わかった』
それに、笑って頷いて答えた
リヨン『またな!』微笑し手を振る
ケイト『うん!』手を振る←今にも泣き出しそうな顔
リヨン『必ず帰るから!
だから…泣くなよ?』困ったように笑う
ケイト『うん!
待ってる…』微笑←涙が目尻で食い留まる
別れ際…そんなやり取りを交わした
それが…今生の別れとなる等……誰も思わなかった
必ず帰ってくる…
そう、信じて疑わなかった
初めての迷宮で…悪徳サポーターにさえ、捕まらなければ……
リヨン「少しは…お前の中の憎しみを、晴らしてあげられたかな……ケイト」微笑←迷宮の中から上(ケイトが居る方向)を見上げる
それが…リヨンの、最期の言葉だった
仲間が伝えてくれた
悪徳サポーターへ、お前を見てると妹を思い出すよ^^と笑って頭を撫でていたこと
事ある毎に心配し、寄り添い、大事にしようとしていたことも…
しかし…その気遣いを利用された
信頼してないのですか!と押され、お守りまで手放してしまった
その結果…悪徳サポーターは守られ、無事に地上へ帰れてしまった
それだけではない…
質に売り飛ばされてしまった
一度や二度の手付きではないと、目撃した仲間は言っていた
それを…仲間が必死になってファミリアの皆に声を掛け、必死に探して回り、やっとの思いで僻地にあった質で見つけ、全て購入した