第87章 神化(しんか)
一番は…そいつを捕まえようという腹だろう
だが…捕まらなかった……
しかも「彼女」は…
当然顔で、オラリオを闊歩していた…
「癌」と一緒になって――
だから…消えることとなった
「思い遣ってくれる人達を見ず、思い遣らず、その良心を利用するだけ利用して、犠牲を強い、無理強いをし、人を口実に正当化し、自らの欲望のままに、感情の赴くままに、暴走を繰り返し続ける」
「無責任な自己中クレクレ野郎」
「人に同じことされたら怒るくせ、聞く耳持たず好き勝手にやりたい放題をする」
「始末に終えないクズだ」とだけ明記しておこう
以上が、「癌」についての記載だ
うん……
全体的に見て、「癌」のファミリアが元から「癌」で、ケイトからすれば仇そのものだった
ということだろう
嫌悪感を最初から抱くのも当然とも言える…←1308ページ参照
「「仕返しすべき冒険者」と『そうでない冒険者』の区別も付かないのならお前が殺されてしまえ
勝手な自己満足で何でも好きにしておいて、人を言い訳にして被害者ぶるのもいい加減にしろよこの糞野郎が」
そう怒り心頭になってもおかしくは無い
寧ろ、当然の権利だとも思う
「脳内お花畑かよ
温室育ちにも限度があるだろ」
「平穏無事な日々なんて過ごせる訳ねえだろうが
そこまで人の人生を弄んでおいてよお」
「ここまで散々コケにして蔑ろにしていながら、人からはされなくて当たり前ってなんだよ…」
そう睨視を受けていた…
「癌」が消える終盤
その間際の頃には、オラリオからの「癌」への全評価は…そうなっていた……
消えるべくして消えるのだと…誰の目にも、火を見るよりも明らかだった
だが…
『どんな存在であれ消えて欲しくは無い』
そう願う根幹と本質を持ったケイトは…
「癌」からすれば都合のいい逃場であり、利用出来る絶好のカモでしかなかった
だから…より一層罪が深くなり、重くなり……消えて行った
最期の瞬間まで、自分だけの力で切り抜けようとはせず
困ったら誰かに頼るばかりで、無責任に何でも思いのまま好きにやるばかりで、後始末や皺寄せも全て自分でせず人に着せるばかりで、罪をも人(フレイヤやイケロス)へ被せるばかりで、
そういった独り善がりで無責任な英雄ごっこ暴走思考はいつまで経っても改められることも無く