第87章 神化(しんか)
この取引は一時的なものであり、今後ずっと続くものではないこと
そして――長旅になる為、釣り合わないこともあって今回限りとなることも教えられた
期限は10日
採取に掛かる時間でもあり、当初の予定通りの期間だ
その間に基本的なことは全て教えてもらい、実際に打たせてももらい身に付けていった
学校は当時夏休みであり、宿題は置いておいて10日だけという条件で鍛冶に専念させてもらった
いじめっ子達が嫌がらせしたり邪魔しようとしてきたが追い払ってもくれた
当時、お母さん以外では初めての…安全な場所だった
ここにいていいんだと、思わせてくれた
カーン!!カーン!!カーン!!
赤く熱された鉄を、ケイトが教わった通りに打ち上げていく中
隣に腰掛けたフォボスは膝に頬杖を付いたまま言った
フォボス「あんたは刀みたいだね」微笑
ケイト「え?」
フォボス「折れず、曲がらず、よく切れる。
極東の武器さ。
よくもまあここまで散々にされて、それでも正気で居られるもんだ(感心するよ」
ケイト「私は…守りたいものがあるから。
凹んだりしょげたりもするけれど…それ以上に大事なことだから。頑張りたいんだ。
死ぬ最期の瞬間まで、守る為に頑張り続ける。
そう決めたから…(真剣)
そう決めて…(微笑)
生まれて来たから^^」フォボスを見て言い切り笑い掛ける
フォボス「ヒーッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッ!!!^^
よく言った!
男はそうじゃなくっちゃねえ」ばしぃんっ!
ケイト「女だよ!!!;」
フォボス「ああそうか。
済まない済まない。
ふっふっふっふっ^^
久しぶりに見込みのあるガキを見つけた。
(ヴェルフと)しのぎを削り合わせるのもありかもしれないね?」にやり
ケイト「へ?」
フォボス「いいや、こっちの話だ」
10日後には鍛冶の全てをマスターしていた…神剣を単独で造れるぐらいに――
別れ際
フォボス「またこっちに来ることがあったら見てやるよ。
覚えたこと、忘れるんじゃないよ!?」
ケイト「はい!
またね~!!^^」手を振る
フォボス「ふっ…
またね」くるっ
微笑してそう言い、背を向けてから左手を小さく上げて振った
それに…その後ろ姿に…見えなくなるまで手を振り続けた
その翌年――フォボスが亡くなった(天界に還った)と、風の噂で聞いた