第87章 神化(しんか)
消滅したものは、対価として差し出したものは、二度と元には戻らない
消費したものが…元に戻ることが無いように
消費する前には、もう戻れない
『自らの魂を削る』とは、『自らの自我と記憶を消滅させる』ということ
『それ』を対価にして、『あるもの』に変えること
アリアの場合は『アイズの中(魂や霊体)に、「癌」によって植え付けられた「癌化」に対しての浄化』
ケイトや原初の始祖神の場合は…『己を除く全ての実在化』
アリアは原初の神々ではない
その為、「癌」に染まった部分の浄化は『決して』出来ないはずだった
だが…『自我と記憶の消滅』は、『自我と記憶を対価とした浄化』は、それ程の凄まじさを発揮する
『魂を削る』とは、『削り出した自我と記憶を対価とすること』…文字通り『命に等しい『存在そのもの』』を対価とした、『自己犠牲』そのものなのだから―――
自らの魂を『自我と記憶』ごと削って、寿命として変換して送ったものは…
その中に戻ることは無く、寿命へと変換された時点で消滅し……
もう、どんな方法を使っても戻らない
ずっと閉じ込められ続ける中で辛くないようにという配慮なのだろう
実在化の対象は――己を除く全て―――
ケイトのそれも…また……既に同様に現在進行形で行われている
原初の始祖神へ、互いに送り合う状況であることに変わりはない
それを省くと…一方的に利用と搾取を繰り返され続けている現状は揺るがない
ひとつひとつが、全てが…己一人を犠牲にして、光にすることで、命とすることで、己を除く全ての実在化をさせ続けている
だから―――「癌」を存在させ続けるだけで…全ての寿命が削れ続けてゆくことになる
~『実在化(『実在化(水)と自浄(火)』全体付与)』の流れ~
『原初の始祖神の魂を、二重目(外側)の膜が削る』
↓
『削った『自我と記憶』を、原初の始祖神を除く全ての寿命(光)へ変換する』
↓
『原初の始祖神を除く全てへ、創世神の膜を通じて送る』
新たな二重目の膜が、原初の始祖神にしか与えられない理由はそこにある
魂が望まないことは現実にはならない
魂が望むことしか叶えないから←2194ページ参照
心身が拒否すれば…その時点で不可能となり、原初の始祖神を除く全てが消滅するから
だから……そういう人しか選ばれない――