第87章 神化(しんか)
滅神の闇…それが静かに収まった
異変を感じたケイトが時を止め、僕に自ら歩み寄ってくれた
お陰で無事、鳴りを潜めた
……恐らく…闇は、組織の総帥の消滅させようという想いに賛同してしまった……
ケイトを…原初の始祖神を……最も愛するものを、利用するだけで、利用するばかりで、何ら感謝もしない、あって当然としか思わず、扱わない
どれほどのものを犠牲にして、今という時が、この世が、全てがあるのか、それを蔑ろにされていることに、腹の虫が収まり切らなかったのだろう
いや…そんな次元ですらない
正直、虫唾が走り今にも唾棄して襲い掛かりそうになる衝動が全身を駆け巡り身を走る時がある
身を焼け切るほど、激痛に身を委ねて、それでもなお守り抜こうと意を示し続けるそれを、蔑ろにして平気でいられるもの等、生かしておいて何になる?
そんな自問自答が尽きない、尽きることなく懸念が思い浮かんでは消えずに溜まり続けてゆく
だからこそなんだろう………
滅神の術式が、闇そのものである一部が、僕が来るその時まで、黙って鎮座し続けていたのは――
ケイトを苦しめる世界なんてどうなったって構わない
正直僕もそう思う節はある
だが…それに身を委ねれば待つのは破滅しかない
でもそんなこと知ったことかと思う自分もいる
僕にとっては…ケイトに勝る宝は無い
そしてそれはケイトも同じであると自負している
だから…お互い、互いを『見ている』
大事に想って…
ケイト『^^//』にこっ
フィン『…//』ふっ微笑
どこまでも一途に…何度でも……
それが僕の誇りでもあり、寄る辺でもあり、自信でもある
おかしなことに、ケイトも同じようだ…
だから……耐えるよ
君の意思を、守りたい想いを、無視したりなんかはしない
一緒に――――戦おう
蔑ろにする人間を相手にするんじゃない
共に生き、共に泣き、共に…時を過ごそう
膜の中に閉じ込められたとしても、心までは不自由になんかさせてはやらない
ずっと共に居るよ――
どれほど見えなくとも、どれほど触れられなくとも…
傍に居る…ずっと……
消えるその時まで…共に……
居たいから
居る
僕も覚悟が決まった…
君がやると言うのなら…
僕は居る
いつまでも共に――
その想いに感謝を示し、涙と共に抱擁と接吻を交わした