第15章 人造迷宮
がしっ!
ガレス「しっかりせい!!」
ケイト「ぅ…あり、がと」ふらふら
ふら付いていると、脇を抱え支えられた。
イシュタル、タナトス、イケロス、ダイダロスの末裔――
そんな矢先…四つの言葉を、精霊が伝えてきた。その言葉を叫んだ。
治癒の力が使えないことを歯噛みながらも、弱まっていく力を感じる中で精霊の謝罪の声が確かに聞こえた…
未だに氷で塞がり切れていない肺のみから血を流れ続けている私が自分の身体に宿る精霊に伝えた言葉は、『ありがとう』だった。
龍よ。精霊の意思を囲え。その中に宿すように避難させてくれ。精霊を護ってやってくれ。
龍が頷くのを見やってから、私はあることをする為に構えた。
精霊を死なせたくないという想いが、私の中で大きく去来していた。
上へ向かって。きっとダイダロス通りに出るはず…お願い、死なないで――
その精霊の言葉を最後に、聞こえなくなった。
ケイト「ぎり)このままじゃ何もしない内に呪詛に飲まれて体内の魔力が枯渇する。
全身の魔力を解放させて、呪詛を浄化させる!
もし足りなければそれまでの奴だったということだ!!
そうこう考えている内に呪詛にガンガン魔力食われて逆に増やされていく一方だ。
こうなったら一か八か…やるしかない!
体内の魔力を魔操作で、全て外へ!!)
全魔力解放!!!!」くわっ!!
かっ!!
全身が強く脈打つのを感じた。傷口が僅かに疼く。
ケイト&龍『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!』
その魔力は息衝きながら龍の形を取り、魂のままに龍もまた共に高らかな咆哮が出される。
それは人造迷宮中に響き渡った。
リヴェリア「!何をする気だ?」
ケイト「済まない…龍よ。これが最善策だ。
(魔法円展開!)
【我が魔力よ、迷宮ごと全てを魔力として喰らえ。
幾多の障害を切り開き、力に変え、魔力に変え、道を拓け。
呪詛を、不壊属性を持つ我等に害なす全てを『時空間ごと』全て滅せよ!
叫べ!貫け!!最大の魔法となりて…邪魔となる全てを撃ち抜かん!!!
(勇者アルルェーチェよ…本当にこの世に実在してて、私の祖先だというのならば…力を貸してくれ!!」
ぱあああああああああああ!!
その瞬間…その想いに呼応するかのように金の十字架が光を解放した。